2018年1月 アメリカ暫定予算切れ


私の次女はアメリカ人と国際結婚し 8年近く前からホノルルに在住している。旦那は海軍に勤務。軍人ではないので軍属という形になる。パールハーバーで軍艦などの管理・装備近代化などに携わっているという。一応アメリカ政府の国家公務員である。首切りや合理化が日常茶飯事のアメリカにおいて 義理の親としてはまあ一安心ということになる。

ところがこの数年 恒例行事化してきたのが 米国の暫定予算切れに伴う政府機関の一部閉鎖騒動である。今年も1月20日から土日を含む3日間 暫定予算切れのために一部政府機関が封鎖された。彼の職場もこの対象となった。この期間 給与は支払われずに自宅待機となる。

4年前は1週間以上閉鎖となる事態も起きた。この期間 ハワイの政府管轄の観光地は軒並み閉鎖になった。有名なパールハーバーの戦艦ミズーリもハワイ島のキラウエア火山施設もすべて閉鎖となった。しかしこの時は 民主党オバマ政権下で議会上下院の過半数を共和党が握るというねじれ状態での出来事だった。今回は大統領も上下院もすべて共和党が握るという状況の中で予算が成立されなかった。これは異常事態だ。

今回 民主党は 子供の時に親に連れられてやってきた不法移民の強制送還免除措置(DACA)の恒久化と低所得世帯の子供向け医療保険(CHIP)が継続されない限り いかなる予算案にも同意しないという方針を示した。DACAの問題は多く報じられているのでご存知の方も多いだろう。しかし CHIPに関しては今回の事が起きるまで私は全く知らなかった。大和総研グループ ニューヨークセンター資料によれば
 CHIP(Children’s Health Insurance Program)は低所得世帯の19歳以下の子供に対し無料または低コストの医療保険を提供する公的医療保険制度。無保険の子供を減らすことを目的に 民主党クリントン政権下で1997年に設立された。
 資金は連邦政府と州が共同でCHIPに拠出している。州が連邦規則に従って独自のCHIPを立案・運営しており 州のメディケイド(低所得者向け公的医療制度)と連携している。
 CHIPは設立されて以来 あらゆる面においてプラスの効果を表しており 成功を収めていると評価されている。加入推進活動も成果をあげた。CHIPによる医療サービス利用は増加し 低所得者の医療費に対する経済的負担は軽減された。CHIPは低所得世帯の経済的困難時における医療保険のセーフティネットとなっている。
要は このCHIPは皆が望み成立した低所得者層向けの救済施策なのだ。しかし 昨年9月に政府によるCHIPへの資金拠出の期限が切れると 議会共和党は減税法案の成立と引き換えに再認可を拒んできた。そして トランプ大統領はDACAの廃止を主張して譲ろうとしない。

CHIPは低所得者層の子供のためのものであり DACAは不法移民の子供のためのものである。共通するのは「子供」だ。議会共和党とトランプは「子供」というアメリカの未来を担保に 金持ちと大企業を遇する減税予算を通そうとしている。

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