2018年11月 米国中間選挙


米国の中間選挙が終わった。下院は民主党が過半数を獲得し ようやくトランプ大統領の独断政治にブレーキがかかることになった。本当に良かったと思う。もし下院も共和党が過半数を占めていたら 図に乗ったトランプは国内政策であれ海外政策であれ やり放題になってしまうはずだ。

さて下院選とともに注目されたのは 同時に行われた知事選挙だ。選挙前のニューズ・ウィーク誌(11月6日付)によるとトランプの命運を握っているのは議会選挙ではなく州知事選挙の方だとのことだった。その理由は 州知事の持つ意外と大きな権力のせいらしい。なるほど 我々部外者は トランプが大統領になって初めて 大統領の持つ権限の大きさに気づいた。そう考えると 州知事の権限だってバカにならないはずだ。

大統領選挙を含め 米国の選挙で投票するには米国籍を持った18歳以上で かつ 自主的に選挙人登録を行っていることが必要になる。ニューズ・ウィーク誌によると 今回ジョージア州で知事選に立候補した共和党のケンプ氏は州務長官時代に権限を駆使し 民主党支持者が多い層の有権者登録を阻んできたと言う。12年以降 民主党支持者が有権者登録できなかった人数は共和党支持者の7倍に達するというから驚きだ。もちろん 彼を州務長官に任命したのは当時の共和党の知事だ。

また 下院議員の数は各州の人口比率で配分されるのだが その選挙は小選挙区制となっている。したがって選挙の区割りが結果に重要な影響をもたらす。選挙の区割りは10年に一度行われる国勢調査の結果に基づいて見直しされるルールになっているのだが 2000年以降ジョージア州やテキサス州など この時期とは無関係に再区割りを実施する州もでてきた。区割りの権限を持っているのは各州の選挙管理委員会で その人事は州政府(つまり州知事)に権限がある。州知事を押さえていれば自分の政党が有利になるようにいびつな区割りをすることができるというわけだ。いわゆる”ゲリマンダー”と呼ばれるものだ。(ちなみに 上院議員の数は各州2人と決まっているので 区割り問題は発生しない。)

したがって 50州のうちの33州の知事を共和党が握っている今の状況下では 下院選挙は共和党に有利だと言われている。実際に過去2回の下院選では ともに得票数の少なかった共和党が過半数を取っている。区割り自体が共和党有利になっているのだ。したがって今回の民主党の下院過半数獲得はそれなりに大きな意味がある。

今回は50州のうちの36州で知事選挙が実施された。結果 民主党知事は16州から23州に 共和党知事は33州から26州になった。今時点でジョージア州の結果が出ていないが どうやら共和党になりそうだ。ある意味 民主党の躍進ともいえるが 共和党が食い止めたと言えなくもない。

というのも問題となるのは人口の多い すなわち下院議員数の割り当てが多い大型州だからだ。これら大型州をとるかとらないかで 2020/2022年の下院選挙の行方が決まると言っても過言ではない。結果から言うと 共和党が知事を務めていた5つの大型州(テキサス、フロリダ、オハイオ、ミシガン、ジョージア)で民主党が取れたのはミシガンだけだった。

上記5州の中で テキサスは共和党の牙城。ミシガンは当初から民主党がリードし オハイオは共和党がリードしていた。そして残りの2州 フロリダとジョージアが激戦州としてずっとメディアの注目を浴びていた。フロリダ州は大統領選の鍵を握る重要州のひとつで 今回は当初 民主党候補のアフリカ系アメリカ人のギラム氏がリードしていた。しかし結果として敗れ去った。共和党候補との得票差はわずか0.6%だった。また ジョージアは最後まで結果が出ていない唯一の州で 今時点で決選投票の可能性もゼロではない。しかしどうやら共和党ケンプ氏で決まりそうだ。前述のように有権者登録でインチキをしたと言われるケンプ氏だ。民主党候補で初のアフリカ系アメリカ人女性知事を期待されたエイブラムス氏が健闘したが及ばなかった。

この2つの州で民主党知事が生まれていれば 2020/2022年の下院選挙も民主党の勝ち 2020年のトランプ再選に明らかな黄色信号がともっていたはずだが 今回はそこまでは行けなかった。残念。

ただし 今回18~24歳の若年投票者の63%が民主党に投票 つまり トランプにノーを投じている。この事実を見る限り アメリカもまだまだ期待できそうだ。

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