2019年8月 私の仕事
しまった。気づいてみたら 先月のこの欄をミスってしまった。本当に忙しかったのだ。
私の仕事(中堅社員を対象とした研修)には季節性がある。毎年のことだが 一番忙しいのが6月と7月 その後 8月は夏休みなどで若干仕事が減るものの 11月までそこそこの忙しさが続き 12月から3月にかけて暇になり 3月半ばから5月半ばにかけて一番暇になる。
クライアントである人事部はどうしても3月半ばから4月末まで新入社員の研修で多忙を極めている。それらが一段落したところで一般社員の研修を手掛けることになる。というわけで 例年6月から7月が最繁忙期になるわけだ。
とりわけ今年は なぜか実例課題を対象としたスライド研修やフォローアップ研修の依頼が相次いでいる。例えば スライド研修では クライアントにて実際に使用したスライドから 課題として使えそうなものを選び それに微調整を加えて課題に作り上げるという作業を行う。課題としてふさわしいように ひどすぎず かつ 良すぎない資料を選ぶ。しかし 研修を依頼してきているのだから 正直 課題としては出来が良すぎるなどの資料はほとんどない。作業としては 課題と修正結果をイメージしながら題材選びをやるのだが 選ぶだけでも時間がかかる。結構 経験のいる作業だ。
できあがった課題は 当然 私の方で修正見本を作成する。もちろん この見本づくりが難関。えらい手間がかかる。会社によっては 内容がかなり専門分野に及ぶものもあるため まずは内容と背景をしっかりと理解しなければならない。読み手の状況もある程度把握しなければならない。原本をしっかりと読みこなすのはもちろんだが それだけでは不十分。内容に関連することや読み手を取り巻く状況をネットで調べまくらねばならない。それからようやく見本づくりに入る。
手間はかかるものの 実はこの実例を題材にした修正見本づくりは面白い。実際にどういうものが社内で作成されているのか現実のビジネス状況をイメージすることができる。机上で作成した問題解答ではなく 実例である。実際にはきれいごとだけで済ますことのできない様々な制約があるし 幾つもの妥協も必要になる。なかなか教えた通りにはいかない。したがって どこまで原則に忠実にしなければならないか どこまで妥協がゆるされるのかのせめぎあいになる。しかし こうしたプロセスを経て 絶対に守るべき原則や鉄則が見えてくる。私としては 原点回帰の復習であり 錆びつかないための練習になる。
こうした実例を見て感じるのだが 世の中には本当に分かりにくい文書やスライドが蔓延している。もちろん 分かりにくい文書とは伝えようとするメッセージがしっかりと考え抜かれていないことを意味する。中途半端な考えでなされるコミュニケーションは悲惨だ。本来は一度で済むやり取りが二度三度くりかえされる。これにより生じる非生産的な業務は積み重ねると膨大なものになりそうだ。
どうやらまだまだ私の仕事には価値がありそうだ。