2019年10月 ウィルスに抗生物質は効かない


鼻の下に小さな赤い湿疹ができた。疲れた時に時々こういうものが出る。カミソリまけかと思い 抗生物質の軟膏を塗ったが 一週間たっても治らない。今回はなかなかにしつこい。病院に行ったところ 「これは単純疱疹ですよ。一度出ると95%の人は体内に抗体ができるので二度と出ません。何度か起きると言うことは 山崎さんは残り5%ですね。原因はウィルスなので抗生物質は効きません。専用の抗ウィルス薬を塗るか飲むかすれば すぐに治ります」と言う。

そうか 細菌ではなくウィルスが原因なのか。そして 抗生物質はウィルスには効かないのか。恥ずかしながらウィルスは最近よりも小さいことくらいは知っていたが 抗生物質がウィルスに効果がないと言うのは知らなかった。で すぐに調べてみた。

細菌は単細胞生物で ヒトの体内で自分と同じ細胞を複製して増殖していく。一方 ウィルスは なんと自分で細胞を持っておらず 細菌の1/50程度の大きさしかない。ウィルスは ヒトの体に侵入すると ヒトの細胞の中に入って自分の複製を作り 細胞を破裂させて多くのウィルスを飛び散らせ 他の細胞に入り込んでいく・・・これは怖い。

いわゆる抗生物質は細菌の細胞壁の合成を阻害するなどして増殖を抑え死滅させるものなので そもそも細胞を持たないウィルスにはまったく効果がないのだ。例えば 最初の抗生物質 ペニシリンは 細菌の細胞壁合成を担うたんぱく質に作用し細胞壁の合成を妨げる役割があるという。これで細菌は増殖機能を失い 死滅していく。なぜ人間の細胞は大丈夫かと言えば 人間をはじめとする動物の細胞には細胞壁というものがそもそもないからだ。

正直な話 ウィルスに細胞がないことも知らなかったし 抗生物質とは細胞に作用するものだとも知らなかったし 動物の細胞には細胞壁がないということも知らなかった。

ちなみに ウィルスは 細胞を有する生物と異なり その形質が著しく多様だと言う。そのために 万能的な抗ウィルス薬などなく 開発されている抗ウィルス薬もまだまだ限定的だと言う。ちなみに通常の風邪はウィルスが原因なので抗生物質は効かない。インフルエンザと同じだ。一般的に売られている風邪薬はあくまでも症状を軽減するためのもので ウィルスを殺す機能はない。

それでは 原因が細菌かウィルスかをどうやって判断するのか。これはちゃんとした検査をしないと分からないらしい。ただし大まかな目安としては 発熱・のどの痛み・咳・鼻水といった代表的な風邪の諸症状が複数出ている時にはウィルス感染。鼻だけ 咳だけといった特定部位のみの症状が出ている場合には細菌感染の疑いが高いと言う。最近は特定の部位に集中して増殖するのに対し ウィルスは部位を問わずに増殖する傾向があるからだという。

とはいっても私の赤みを帯びた湿疹は鼻の下の部分的なもの。ウィルスの世界は奥深い。病院からもらった軟膏のおかげで3日で治りました。

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