2022年5月 100キロマラソンとランニング曲
先月 3年ぶりの開催となった富士五湖ウルトラマラソン100キロの部に三度目の出場を果たした。このウルトラマラソンは山中湖と本栖湖を除く3つの湖を回る62キロの部 本栖湖を除く4つの湖を回る100キロの部 そして5つの湖すべてを回る118キロの部の3つがある。100キロの部の制限時間は14時間だが 途中に6つの関門があり それぞれの関門に制限時間が設定されている。関門到着が設定時間より何秒かでも遅いとその場でアウト。回収バスに乗せられてしまう。
おそらくコロナのせいでボランティア集めに苦労したのだろうか 今年は3年前と比べ30分以上遅い 朝5時20分にスタート。やはり3年間のブランクは大きく 途中からは関門ごとに制限時間まであと2、3分という状態が続き ゴールしたのは14時間ギリギリの夜7時20分。小雨が降り続く寒さの中 真っ暗な山を駆け抜けての必死のゴールだった。何はともあれ100キロ完走。
さて 14時間も走るとなると やはり後半は音楽が欲しい。今年は コロナ・ルールで スマホで体調管理アプリの結果を入り口で見せなければならず かつ400グラムの飲料水を携帯しなければならないという条件がついたので 初めて小型リュックを担いで走ることにした。というわけで どうせリュック持参ならiPhoneから無線イヤホンに音楽を飛ばすことにした。以前は リュックなしで走り スマホではなく 小さなiPodを活用していた。
ただ終わった後で考えてみると この大会は荷物預かりがあるので 必ずしもスマホを持って走る必要はなかった。しかも給水箇所は多いので 携帯する水もぎりぎりの量で充分。となれば ボトルホルダーつきのウエストポーチがあれば リュックは必要なかったのだ。この違いはギリギリのタイムで走るランナーには大違いだ。
大会が終わって一週間後 来年の大会のことを考えた。そうだ 来年はスマホなしで リュックなしで ともかく100グラムでも軽くして走ろう。音楽は 奮発してイヤホンにプレーヤーがついているものにしよう。調べると この種のイヤホンも昔と比べ安く手に入るようになっている。というわけで Sonyのウォークマン(プレーヤー付きイヤホン)を購入。
iPodもそうだが このイヤホンには選曲ボタンはない。つまりイヤホンに入れる選曲が重要になる。というわけでランニングにふさわしい曲を改めて選び 手元にない曲は一曲ずつネットで購入することにした。選曲をしているうちに ふと気づいた。たとえランニング応援歌という目的がはっきりしたものであっても 楽曲選びというのは必ずしも 歌詞やリズムだけではなかった。その曲と関連する私の個人的な思い出や連想する感情が深く関係するのだ。
例えば ランニング応援曲の定番は「負けないで(ZARD)」や「Runners(爆風スランプ)」。しかしそれに勝るのは 私の場合「ロッキーのテーマ」だ。この曲を聴くと ロッキーがフィラデルフィア美術館の階段を駆け上る映画のワンシーンが思い浮かぶ。しかも当時 フィラデルフィアに留学中の私は 街の映画館で拍手をしながらこの映画を見ている。この曲を聴くと 映画のシーンだけでなく 当時の私自身のエネルギーさえよみがえる。
サイモンとガーファンクルの「Mrs. Robinson」もランニング曲に含めることにした。これを聞くと映画「卒業」で 赤のスポーツカーに乗りゴールデンゲートブリッジを駆け抜けるワンシーンがよみがえる。このシーンで流れたのがこの曲なのだ。そして このシーンとともに私が青春時代に抱いたアメリカへの熱い思いもよみがえってくる。何を隠そう 私が最初にアメリカにあこがれるきっかけになったのが 高校時代に見たこの「卒業」なのだ。
加山雄三の「サライ」と「座・ロンリーハーツ」も加えた。サライはもちろん24時間テレビのマラソンシーンが思い浮かぶし 「座・ロンリーハーツ」はおじさんへの応援歌。そもそも 加山雄三のコンサートを何度も聴きに行った私は 84歳でも歌い続ける加山雄三の頑張りそのものが応援歌なのだ。変わったものでは安室奈美恵の「ヒーロー」も加えることにした。安室奈美恵の生きる姿勢が私のエネルギーになるからだ。
いろんな歌を20曲近く選んだが 一番のお気に入りは間寛平の「Run Run Run」だ。10年以上前 大阪マラソンを走った時 間寛平と並走になったことがある。走っている間ずっと一般ランナーや応援者に手を振って応える 見た目通りの素晴らしい人柄。この曲は 彼が250キロのウルトラマラソンに出場していた頃の歌だ。私が100キロマラソンを走ろうと思った深層心理には間違いなく間寛平とこの曲がある。めちゃくちゃ古い曲だが お勧めです。・・・この世に歌があればこそ まだまだ100キロも耐えられる。