2023年12月 藤原竜也


たしかNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の再放送だったと思う。何気なく見ていたら 俳優 藤原竜也がテーマだった。来年2月に藤原竜也主演の「中村仲蔵」を観劇予約しこともあり 興味深く見させていただいた。

藤原竜也は「身毒丸」主役オーディションで 天才演出家蜷川幸雄に見いだされ ロンドンで初デビューを果たす。それまで何の演劇経験もない当時15歳の少年だった。皆さんご存じのように その後 蜷川氏の厳しい指導の下 演劇一筋の人生を送っている。

番組を見ていて驚いたのは 藤原氏が入学後わずか4日で高校を中退したというくだりだ。この時 ふと頭をかすめたのが 将棋の藤井聡太のことである。藤井氏の場合 将棋対局スケジュールの関係が大きく影響したらしいが 高校3年時 卒業間近の中退だ。この時 私は 長い人生を考えると高校くらいは卒業しておいた方がよいのにと思った。しかし今回 既に不惑の歳を超えた藤原氏の高校中退の話を聞き 自分の考えが間違っていたと悟った。

人間には教えてもらわなければ学べない人と自分で進んで学べる人がいる。しかし 自分で進んで学べる人もその大半は 少なくともある程度の人生経験を積むまでは 何を学ぶべきかについては人から教えてもらう。ところが 稀にだが かなり早い年齢で 何を学ぶべきかどう学ぶべきかついて自分で判断できる人がいる。それが俳優の藤原氏であり 将棋の藤井氏だと思う。

凡人の私は今更のようにそのことに気付いた。おそらく藤原氏や藤井氏のご両親は身近で子供たちの姿勢を見ているだけに 自分たちの判断基準を子供たちにあてはめることはできないことに早々と気付いていたのだろう。それにしても 藤原氏の場合は 15歳での高校中退である。藤井氏の場合は 高校中退の時点ですでにタイトルを保持していたので 藤原氏との簡単な比較はできない。藤原氏の場合 おそらくは 師匠 蜷川氏の存在が大きかったと思う。天才は天才の生きるべき途を知るのだ。

自分を振り返ると はっきり言って私のキャリアだった経営コンサルティングや教育研修の分野では学歴がものをいう。私は日本のそれなりの大学を卒業し アメリカのそれなりのビジネススクールを卒業している。本当にラッキーだったし 多くの周りの方に助けられた結果だ。本当にありがたいことだが 言ってしまえば枠の中のキャリアである。

枠の中で生きてきた人間は枠の外で生きる人の力を理解するのが難しい。今回もまた 自分の理解を超える人たちの生き方を学ぶ大切さ 学ぼうとする姿勢の大切を心から思った。

皆さま よいお年をお迎えください。

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