2009年12月 JAL 整備不良につき


先月、映画「沈まぬ太陽」を見に行きました。なかなか面白かったですが、やはり、文庫本5巻分を一本の映画に押し込むというのは所詮無理がある気がしました。

「沈まぬ太陽」は約10年前の山崎豊子の小説です。一読して日本航空と分かる航空会社を題材に、会社を食い物にする政治家、経営者、御用組合の幹部、イエスマン社員たちの魑魅魍魎の世界、悪臭漂う腐敗と不正、そして、それに立ち向かう一人の正義感あふれる社員を描いています。

映画では「フィクションであり、実在する会社とは関係がない」とのテロップが流れました。しかし、小説では「多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基づ き、小説的に再構築した」との解説があります。つまり、個々の内容は取材に基づいていると言っているわけです。もちろん、日航はこの取材に全面的に応じて いないそうですから、取材そのものにバイアスがかかっていることも想像できます。

読書がお好きで時間のある方は、ぜひ「沈まぬ太陽」の小説の方をお奨めします。その後に、ネットで検索すれば、小説の登場者が実在の誰をモデルにしているかなど、とても興味深い情報が満載で、小説が倍楽しめます・・・というか、倍、恐ろしくなります。

さて、小説がどれだけの真実を含んでいるかはさておき、経営コンサルタントとして現在の日航問題を見た場合、はっきり言って、なぜ法的手段をとらないのか まったく理解に苦しみます。まさにこうした事態ために作った民事再生法だと思うのですが・・・。時間がかかればかかるほど事態は悪化し、我々の税金が垂れ 流しになります。米国がすばやくGMにチャプター11(民事再生法)を適応したのと比べ、なぜ日本では出来ないのでしょうか?やはり、過去の大物政治家や省庁との関係が公になることを恐れているのでしょうか?「沈まぬ太陽」を読んだ後に、どうも今のJAL対策を見ていると、何か勘ぐりたくなります。

私 は、長いコンサルタント歴の中でも、このような政治がらみの企業のコンサルティングをやったことはありません。ただし、大企業の子会社(神戸)のコンサル ティングをやっている最中に、暴力団筋が経営に介入してきたことが一度だけあります。どうやら、その子会社の社長は本社の総務担当役員時代に、労務対策や 総会対策で、その筋との関係があったそうなのです。「沈まぬ太陽」を読んでいて、何か通じるものを感じてしまいました。

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