2010年5月 三次元時代の幕開け
先日、“アリス”の3次元映画を見に行っ た。もちろん、3次元のディズニー映画を見に行ったのであって、アリスを見たかったわけではない。アバター、そして、アリスと3次元の大型映画が続くと、 もう映画は3次元時代に突入したと言える。そして、テレビもあっと言う間に3次元が当たり前になりそうな感じだ。
「欲しいものを買う(・・・が欲しい!)」という考えは、際限がない、つまり、い つまで経っても満足の境地が得られない考え方だと少しだけ悟った私は、最近は、「必要なものを買う(・・・は必要だろうか?)」という考えに切り替えるよ うに心がけている。と言うわけで、必要を感じていないデジタル・テレビは最後の最後まで買わないことに決め、未だにアナログを見ている。とりわけ、価格引 下げスピードの激しい家電製品などは、必要がなければ、ある程度、待つ方がよい。
さて、デジタル・テレビを買い控えているうちに、3 次元テレビの登場である。これは待ったかいがあったかもしれない。今は、心から3次元テレビが馬鹿売れし、早くエクスペリエンス効果を出して欲しいと思っ ている。えっ。3次元テレビが必要か?・・・それは必要でしょう。デジタルの世界はすでにパソコンで経験済みなので必要は感じないが、やはり、3次元のゴ ルフ番組やサッカー番組は経験しないと駄目でしょう。
3次元と2次元の違い?それはもちろ ん、圧倒的な情報量の違いだ。1次元で伝える情報量が10だとすると、2次元で伝えられる情報量はその2乗、100。3次元だと3乗になるので、 1,000。この違いは大きい。例えば、プレゼン用のスライドを作る場合、スライドに文字を箇条書きするのと比べ、二次元のグラフで表現すると、2乗倍の 情報を伝える事ができる。更に、3次元の立体グラフで表現すると、元情報の3乗倍の情報を伝える事ができる。実際に、プロのコンサルタントのプレゼン・ス ライドはほとんどすべてのページが表やグラフの2次元情報で表現される。箇条書きのスライドなどは30枚のスライド・レポートに1枚あるかないかだ。
ただし、3次元となると伝える情報量が多くなる分、作り方が難しくなる。非常に頭のよいコンサルタントの友人が3次元のグラフをさらさら描いているのを見て驚いたことがある。私にはそんな芸当は無理だ。
話はもどって、先日、知り合いが2 次元のアバター(DVD)を借りて見たがそんなに面白いとは思わなかったと言っていた。同感です。アバターのすごいのは内容ではなく、3次元の編集技術。 映画で時々、めがねをずらして見ると、丁寧な編集に驚かされます。しかし、アバターの方がアリスよりはずっとましだ。アリスは、慣れるまでの最初の30分 間、かなり目が疲れた。特に字幕はしんどい。3次元効果を激しく使いすぎなのでしょう。(この点、テレビ場番組の3次元化にあたってはぜひ公のガイドライ ンで規制した方がよいと思う。)内容的にも、原作(不思議の国のアリス)のファンタジーな世界を期待している人には期待はずれ。想像力の湧かない戦いの映 画になってしまった。しかし、それにしても、アバターと言い、アリスと言い、タイタンの戦いと言い、3次元を売りにした映画はどれもこれも戦いだらけ。3 次元映画そのものは素晴らしいが、3次元映画の作り方という意味ではまだ先は長そうだ。