2011年4月米国にて


4 月4日から一週間、米国バッファローに出張してきました。ある研修に生徒として参加するためです。今回は、火曜から木曜まで、朝8時から夕方6時までのフ ル3日間です。この間、米国人以外は私一人。久しぶりに、緊張感ある、厳しくもエキサイティングな環境に身をおいてきました。私は、時々、米国で開催され るおもしろそうな研修や会議に参加するようにしています。もちろん研修内容そのものも出張の目的ですが、他にもいろいろ副次的な目的があります。

先ず、米国の研修は実に効率的に運営されているので、商売柄、その運営方法が実に参考になります。また、意識的に生徒として参加することにより、改めて、生徒としての立場を再認識する事が出来ます。歳をとると、人にものを習うという機会が減るので、これは大切です。

しかし何と言っても、最大の 収穫は変化の波を肌で感じることが出来ることでしょう。米国の先端テーマの研修に参加し、他の参加者などと意見交換していると、米国企業がどのような状況 に直面し、どのように動いているのかが実感できます。実際には日本の状況もほとんど同じなのですが、日本で実務にまぎれているとなかなかこういう経験が得 られません。やはり、仕事から離れ、いったん外に出て、違う空気を吸ってみないことには季節の変化には気づきがたいものです。

さて、時差ぼけで夜眠れないときは、テレビをつけっぱなしにしているわけですが、今でも、一日に1 回は日本の地震報道がありました。ただし、東地区ではその程度の報道です。日本で思うほど頻繁な報道ではありません。とは言え、内容は強烈です。テレビを 見、現地の新聞を読んでいる限りでは、原子炉爆発の危険がすぐにでも差し迫っているような感じです。日本でおなじみになっている「差し迫って危険な状況に あるとは認識していません」という原発関係者の発表と比べると雲泥の差です。

危機を煽るような大げさな米国の報道と、隠そうとする意図が見え見えの日本の発表とどちらが真実に近いのか。おそらく真実はその中間にあるのでしょう。た だ大切な事は、外から見るのと、中から見るのでは、見え方がかなり違うということです。そして、中からの視点はつねに現実(真実)に対して鈍感であるとい うことです。昔は、商社マンと言えば憧れの職業、一度は海外で生活をという海外志向が高かったのですが、今はそういう若者も減ってきたようです。現代の内 向き志向と日本の鈍感化には、どうも比例関係があるように思えてなりません。

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