2012年1月その2 一番大吉


昨年の正月、初めて高幡不動に行ってきた。ものすごい 人出の中、おみくじを引くと凶、人生初めての凶だった。そもそも縁起物的な意味合いの強いおみくじに凶が本当に入っているなど思いもしなかった。そう言わ れれば、神道の私は、お正月に神社に行くことはあってもお寺に行くことはほとんどなかった。お寺でおみくじをひくということ自体、はじめての経験だったか もしれない。凶のおみくじを結んでいるところ、となりの女性が三回引いてすべて凶だったと言っていたので、それなりの確率で凶が入っていたらしい。

これはあくまでも主観だが、神社のおみくじには凶はおそらく入っていない。そもそも、万物に神が宿るという「八百万の神」的な発想ではおみくじに凶を入れるなどあり得ない。これ以来、私はお寺ではおみくじを引かないことを心に決めた。

私は福岡出身だが、福岡(九 州、西日本)には、三社参りと言う習慣がある。正月には三つの神社にお参りするという風習だ。今でもこの習慣は欠かさない。今年は、明治神宮、穴八幡に 行った後、どこに行こうかと思っていたところ、妻が浅草に行きたいと言い出した。浅草はお寺なので一瞬躊躇したものの、久しぶりなので行ってみることにし た。一月三日の話だ。スカイツリー人気もあり、大混雑。明治神宮のおみくじには吉や凶などは書いていないし、穴八幡ではおみくじを出していないので、今年 はまだおみくじを引いていない。浅草寺でおみくじをひこうか、しかし、ここはお寺だし・・・、いろいろ考えた上、踏みとどまった。

厳密には三つの神社を回って ないこともあり、まだおみくじも引いていないし、結局、8日に、近場の世田谷八幡にお参りに行くことにした。なかなか風情のある、昔ながらの私のお気に入 りの神社だ。お参りの後、気持ちを込めて、みくじ棒を引いた。おぉ・・・!棒には「一番」の数字。「一番大吉」だった。・・・今年は絶対に良いことがありそうな・・・。

正 月はかくあるべき。私はすべての住職に言いたい。「仏教は哲学だ。原始宗教の神道とは違う」というのはよく分かる。しかし、正月くらい、凶のおみくじは入 れないようにして頂きたい。なにせ正月なのだから・・・。初詣の方にはぜひ言いたい。日本の場合、神仏混淆といい、神社もお寺もいっしょくただが、お寺と 神社の違いくらいは意識しておきましょう。また、おみくじを引くならば神社で。

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