2012年7月その2 クレジットヒストリ


今、国際結婚し、ホノルルに住んでいる次女が孫を連れて数年ぶりの里帰り中だ。その次女とクレジットカードの話になった。彼女は米国のクレジットカードを2枚持っているのだが、この2枚とも意図的に時々使用するようにしなければならないという。理由は高いクレジットヒストリを維持するためらしい。クレジットカードを持つ理由は便利だという理由もあるが、むしろ、この信用力を高めておきたいという理由が大きいという。

米国では、クレジットカードの支払記録やローンなどの返済記録は“クレジットヒストリ”として記録されている。この記録は信用を数値化したもので、例えばあなたのクレジットヒストリは600ポイントなどとなる。もちろん、自分のヒストリはいつでもチェック可能だ。また、借金するときには当然だが、アパートを借りる時や就職のときなどに調べられ るという。実際に、次女の場合、アパートを引っ越しするときに大家さんから調べられたといっていた。例えば、ある人気のアパートに引っ越し希望者が複数い た場合、このクレジットヒストリがものを言う。

クレジットヒストリは借金の 返済記録なので、借金が少なすぎると、つまり、あまりクレジットカードを使わないと信用力に反映されなくてポイントが低くなるし、クレジットカードの返済方法が一括返済でないと低くなるし、一枚のカードだけしか使用しなくても低くなるらしい。もちろん、クレジットカードを持ったことのない人の場合、ヒストリがゼロになってしまう、つまり、信用力ゼロになってしまうので、銀行でローンもできなくなってしまう。一般人の米国生活ではここら辺の仕組みをしっかり と理解しておくことが肝要になるらしい。そうしないと、いざローンで家を購入する場合などに困った状態になってしまう。

借金大国、アメリカならではの仕組みに聞こえるが、このクレジットヒストリに誤りが発生することはないのだろうか。私自身、昔、米国に半年ほど住んでいた時に、米国で発行したアメックス・カードを持っていたことがある。日本に帰国した後のこと、そのカードに関し、身に覚えのない支払い請求が来てえらい目にあったことがある。この時点、私のクレジットヒストリはおそらくマイナスだったことだろう。

雑誌に、ある米国人がクレ ジットカードで購入した商品をキャンセルした時の出来事が載っていた。キャンセルそのものには問題がなく、カード会社からの支払い請求もなかったのだが、 後日、債権取り立て業者からその支払いについて執拗な取り立てを受けたという。カード会社の手違いでクレジットカードの未払い記録のみが残ったらしいのだ。しかし、その債権は、他の未回収債権とごっちゃにして取り立て会社に売却され、さらに、何度も売却が繰り返されているので、修正が効かないという。ひどい話だ。

日本でも遠からず国民皆背番号制が導入されると、こういうクレジットヒストリ的なものが導入されることになるのだろうか。このような仕組みを作るときには、ぜひ、ミスがあり得ることを前提にして作っていただきたいものだ、原発と同様に。

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