2012年8月その2 お墓考(2/2)
先に、樹木葬に関連し、米国の墓事情を考えてみた。それでは、米国より土地の狭いヨーロッパではどうなっているのだろうか。
ネットで調べたところ、イギリスでは驚くことに70%が火葬だという。もっと驚いたのは、土葬の場合、死後70年経ち無縁墓になった墓はいったん掘り起こして、深い場所に埋めなおし、新しい墓を建ててよいという法律ができたという。墓地の二重構造である。つまり、イギリスでも墓地不足はかなり深刻であり、かつ、無縁墓が多いのだ。火葬の場合、そのあと遺灰はどうなるのかはいろいろのようだ。自宅に持ち帰り、気に入った壺に入れて保管する人も少なくないらしい。空から遺灰を撒くというビジネスもある。もちろん墓地に墓石を建てて、その下に撒いてもよいし、墓地に共同で遺灰を撒く場所もあるという。
フランスの場合もイギリスに似ている。ただし、火葬の割合が高まってはいるが、イギリスほどではなく、火葬比率は、墓地不足のパリで40%、フランス全体では30%を切る程度らしい。ほぼ米国と同じ程度だ。ただし、土葬の多いフランスでは、米国と異なり、墓が地下室のようになっており、棺を2つ以上納められるようになっているのが普通だという。大きい墓だと、その下に8つの棺が入るような構造になっているものもあるらしい。イギリスの法律を先取りした重層構造だ。ちなみに、火葬の場合、フランスでは、約7割の人が遺灰を自宅に持ち帰り、そのまま保管したり、好きなところに撒くらしい。墓地に収めるのは3割以下だという。
気になっていた方も多いかもしれないが、欧米では遺灰と言い、日本では遺骨という。私は、同じ火葬でありながら、この骨と灰の違いがその後の方法に大きな影響を及ぼしている気がしてならない。日本の火葬の場合、火葬の後に残るのは遺骨であり、骨壺にいれるのは焼け残った骨である。灰ではない。以前、葬儀場の人にすべて灰になるまで焼くことはできないのかと聞いたところ、ここでは無理だといわれてしまった。撒きたいのならば、トンカチで骨を砕かないとだめだと言われた。日本で海に散骨する人は、骨のまま撒いているのだろうか、それとも骨をわざわざ砕いたうえで撒いているのだろうか。いずれにせよ、これは抵抗感が大きい。
欧米の場合には、焼く温度がかなり高温であることに加え、灰になりやすい薬品を混ぜて焼くらしい。・・・どう考えても、骨では人に近すぎる。灰ならば土に近い。樹木葬がこれだけ人気を浴びているのだから、ぜひ焼き場の人に提案したい。私の死体は薬品を混ぜても何を混ぜてもよいので、すべてを灰にしていただけないだろうか。割増料金OKです。