2012年11月 大統領選挙と共和党
オバマ大統領が再選を決めた。マスコミ情報では接戦が報じられていたが、ふたを開けてみると圧勝だった。これは選挙日の前週にニューズ・ウィーク誌が予想した通りだった。
同紙によると、選挙前の接戦情報は窮地に陥った共和党が画策したものだという。接戦状況をでっちあげることにより、ロムニーの選挙運動に活を入れ、結果として接戦状況を現実のものにしようという戦術だったらしい。もちろん、マスコミとしては、オバマ優勢が続くよりも接戦のほうが話題性を呼ぶ。これは昔ながらの共和党のやり方で、共和党の活動家に染みついた体質だという。ジョージ・W・ブッシュ政権下、その側近がニューヨーク・タイムズ紙の記者に「現実を自らつくり出す。そして君たちがそれを仔細に検証しているうちに、われわれはまた別な現実をつくり出す」と語っている。(ニューズ・ウィーク日本版2012年11月7日号から)
しかし、選挙的には圧勝と言いながらも、投票者数ではわずかの差だったのも事実だ。私にも何人かの米国人の友人がいるが、皆、インテリで、民主党支持者ばかりだ。そのせいもあり、なぜ共和党を支持する人があれほどたくさんいるのか、私には正直よく理解できない。なぜ国民皆保険の医療制度に反対するのだろうか。
しかも、共和党の支持者には、どちらかと言えば、あまり裕福ではない、正直、医療保険の支払にも困ることのある白人が多い。いわゆる、プア・ホワイトと言われる人たちだ。今回、接戦州と言われた北東部はこう呼ばれる人たちが多く住む地域だ。カトリック系で信心深く、田舎に住む労働者で、あまり裕福でなく、学歴もそれほどではない。しかし、まじめに人生を送っている人たちだ。こういう人たちの多くは共和党支持で、しかも誰が大統領候補になっても共和党という頑なな人たちだ。しかもこうした共和党的な政治信条(小さな政府、安い税金、アメリカンドリーム万歳)は親から子へと引き継がれていく。
現実は作り出すものだと言い切る一部の権力者や超金持ちと、多くの恵まれないプア・ホワイトで成り立つ共和党。共通するのはとても頑固で強固な信条だ。共和党穏健派が徐々に姿を消していく中、共和党に潜む、アメリカの問題の根深さと危うさを感じた大統領選挙だった。がんばれ、オバマ! (・・・しかし、アメリカにはまだ応援したい政治家がいるのだから羨ましい。残念ながら、日本には頑張れと声をかけたい政治家など一人もいない。)