2013年2月その2 “レ・ミゼラブル”


2月25日にアカデミー賞が発表される。私の個人的予想では、やはり、ゴールデン・グローブ賞を獲得した“レ・ミゼラブル”で決まりだと思うが、如何だろうか。この映画の圧倒感はすごい、あっという間の2時間半で、最後には思わず画面に向かって拍手をするほどだった。先日、日経新聞のアカデミー賞予想で、3人のうちの2人が“アルゴ”を、1人が“リンカーン”を挙げていた。“リンカーン”は日本では4月からの上映予定なので中身は知らないが、2人の映画批評家が“レ・ミゼラブル”ではなく“アルゴ”を挙げたのには、私も妻も驚いた。正直な話、日経新聞の映画批評とはいつも意見が合わない。

“レ・ミゼラブル”に戻るが、ここまで興味を駆り立てられると、このミュージカルを見ていない者はどうしても見たくなる。と思ってチェックしたところ、ミュージカル“レ・ミゼラブル”(帝国劇場)が5月から新キャストで始まるらしい。私のようなミーハー顧客を見逃さないように、ちょっとした“レ・ミゼラブル”ブームが仕掛けられているのだ。さすが東宝グループ。ちなみに、映画の配給は東宝東和、ミュージカルはフジテレビの後援。ご存じのように、東宝はフジテレビの大株主。

ともかく、ここは東宝グループの策略にまんまとのっかり、ミュージカルも予約を済ませた。実は、最近、暇に任せて、ミュージカル、演劇など結構出かけている。特に、多くの劇場で、映画と同様にネットで座席指定で予約できるようになったのでえらく便利になった。

とはいえ、日本の演劇・ミュージカルには不満がいっぱいある。そもそも演劇やミュージカルがS席12,500円や13,500円というのはちょっと高いのではないだろうか。歌舞伎はもっと高い。いや高くはないのかもしれないが、そもそも座席の63%がS席(レ・ミゼラブルの場合13,500円)で、A席(同8,000円)が26%しかないというのは、どう考えてもおかしい(%は帝国劇場の場合)。つまり、標準がS席になっているのだ。二人で出かけ、夕飯を食って、それだけで軽く3万円を超す出費が標準パターンになっている。確かに、ブロードウェイも安くはないが、私の記憶では座席の種類が数種類ある。つまり、価格がもっと細かく分かれている。

また、映画には60歳割引、夫婦50歳割引、女性デーなど割引制度がいっぱいあるのに、演劇では学生割引のみ。なぜシニア割引がないのだろうか。そもそも、なぜ平日の昼間が休日と同じ値段なのだろうか。もっと言えば、ブロードウェイでは夜の部は8時開演が普通だが、なぜ日本の演劇はどれも6時半開演なのだろうか。夕飯を食べる時間もない。

ちなみに、さすが、劇団四季では数年前に価格を引き下げ、S席が、四季の会の会員ならば9,000円しない。しかも、東京では、演劇・ミュージカル専門の、どこからでも見やすい四季劇場で開催されるので、納得できる。たまに、ブロードウェイのミュージカルが来日し、あの東京国際フォーラム大劇場で、オペラグラスなしではとても見えないような席で13,000円というのがあるが、あまりにも客を馬鹿にしているとしか言えない。そういうことを考えながら、キャストを見ていると、巷のミュージカルでは劇団四季出身者がその多くを占めている。いろいろな意味で、劇団四季は日本のミュージカルのリード役として頑張っている。浅利慶太の貢献度は意外とすごい。

最後に、レ・ミゼラブルに関しては、テレビでもおなじみの山口祐一郎さん(劇団四季出身)がジャンバルジャン役(Wキャスト)の予定だったが、喉の調子がわるいという理由で降板になった。山口さんのジャンバルジャンを見たかったので、ちょっと残念。一日も早い回復を祈ります。

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