2013年4月 新年度の始まり(1/2)
新しい年度が始まる・・・と言うと、やはり日本の場合、4月1日だろう。しかし、なぜ暦と年度は異なるのだろう。会計年度も1月1日スタートにしてしまえば簡単に思えるのだが・・・。
考えてみると、政府の予算は4月スタートだが、我々が支払う税金の計算は、個人の場合、暦と同じになっている。つまり、「税支払いの対象期間=暦(1~12月)」(英語でTax Year)であり、「税を使う期間=会計年度(4~3月)」(英語でFiscal Year)となっている。どうやら、暦と年度が異なるのはこの辺に原因があるらしい。昔をさかのぼれば、税を支払う期間の締めとは収穫終了の時期だ。つまり、収穫がある程度終わって、収入が確定した後、予算を考えるのにある程度時間が必要という話だ。
発想が若干、原始的に聞こえるけれども、理にかなっているとは言える。この発想は、実際の農作物では実に明確だ。皆さんは、「砂糖年度」(10月開始)とか「いも年度」(9月開始)とか「生糸年度」(6月開始)などというのを聞いたことがあるだろうか。収穫時期を反映し、全部年度が違うのだ。これらの年度はれっきとした法律で決まっていて、たとえば、砂糖年度の場合、「砂糖およびでん粉の価格調整に関する法律」で、10~9月が砂糖年度だと定められている。砂糖の統計はこの年度を基準にしている。具体的には、「2010年砂糖年度における砂糖の供給量は209万トンだった」などと表現するのだ。ちなみに、この考え方は日本だけではなく、米国の場合、「小麦年度」は6月開始、「トウモロコシ年度」は9月開始となっている。
しかし、「なるほど」と言うのは早すぎる。これは表向きの話、というか、ちょっと一時代前の話のような気がする。情報化時代の現代、収穫見込み、税収予測など、実際に終わってみないと分からないということはないだろう。つまり、一年ごとに、収穫が終わって、そして次の年の予算を考えるなど、20年前の話に聞こえる。今はつねに変化が起きている時代だ。のんびりと一年ごとにものを考える時代ではない。
税収期間と予算期間をずらすというのには、もう一つの有力説がある。暦の場合、どこの国であろうと、一年の終わりや始まりにはいろいろな行事がある。やれ大晦日、やれ正月などなど。こんな時期に年度末を迎えるとなれば、税金の計算をする役人はまったく休みを取れなくなってしまう。やはりピークはずらした方がよいというのがいわゆる役人側の切なる意向なのだ。年度末の忙しさは、実際に役人として働いたことのない人にはとても理解できないほどらしい。
一方で、実際には、暦と会計年度が同じ国もあるし、意外と多いのだ。たとえば、韓国、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイス、ロシア、中国など。つまり、やれば出来るのだ。(次回に続く)