2013年5月その2 草津よいとこ(2/2)


前回は、草津温泉の泉質のすばらしさと、酸性温泉の効用について述べた。今回は、私の好きな世田谷のアルカリ温泉がテーマだ。

私の知る限り、世田谷から神奈川西地区(川崎市麻生区あたり)にかけての温泉は、黒湯で弱アルカリ性だ。チョコレート色のお湯で、まったりとしているのが特徴。なぜ黒いかというと、その元は地層中に蓄積された海藻などの海洋植物に由来すると言う。海藻などの有機物が腐食し、地層のミネラルを吸収して黒くなったという。例えば、世田谷の温泉の成分表をよく見ると、非解離成分の中に“腐植質”という項目があり、それが何ミリグラム含まれているかが表示されている。海藻とミネラルが混ざった成分がたっぷりとは、これはそそられる。

前回、草津温泉はpH2程度の酸性で、殺菌力が抜群、皮膚病に効果ありと書いた。世田谷地区の温泉は腐植質、つまり植物に起因するので、弱アルカリ性だ。例えば、“そしがや温泉”ではpH8.3ていど。しかし、皮膚は弱酸性に保つのが原則なのに、アルカリ性の温泉で良いのだろうか。

結論から言えば、アルカリ性のお湯は、弱酸性の皮脂を溶かし角質を除去させるために、肌がすべすべになると言う。要は、アルカリ性の石鹸と同じ理屈だ。そのために、アルカリ温泉はよく“美肌の湯・美人の湯”と呼ばれる。逆に言えば、“美肌の湯・美人の湯”とうたわれていえば、それはアルカリ温泉と言うことだ。ただし、これを美肌効果と言ってよいのかどうかは議論があるとのこと。なお、アルカリ性が強すぎると肌がカサカサになるので要注意。男性でも湯上り後の美容液と保湿液は不可欠でしょう。

要約すれば、pH観点で言えば、酸性温泉とは肌表面の酸性効果を高める“殺菌クリーム”みたいなもののようだ。一方、アルカリ温泉とは古い皮脂と角質を中和して取り去る“洗顔石鹸”みたいなものだ。とすれば、ベストは、まずアルカリ温泉に入り、その後に、酸性温泉に入ることだ。

ちなみに、インターネット情報によると、強酸性温泉のトップは、湯治で有名な秋田玉川温泉で、何と、pH1.0。強アルカリ温泉のトップは白馬八方温泉(長野)で、pH11.1。こんなにも違いがあるのは驚き。暇になったら、pH値を参考に、温泉巡りをやってみるのもよいかもしれない。どこかツアー会社で、 “アルカリ温泉と酸性温泉を巡るバスパック”みたいなものはないだろうか。

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