2013年11月 原発それとも温暖化?


2か月ほど前から小泉元首相がことあるごとに脱原発をアピールしている。「放射性廃棄物の捨て場所すら決まっていないのに、原発を推進するのはおかしい。」・・・もちろんそんなことは何十年も前から言われてきているし、皆、重々承知している。政治家を辞めた後にこういわれても、どう反応してよいものやら困ってしまう。

ちょうど小泉元首相の脱原発がニュースでたびたび取り上げられていた頃、日本各地では季節外れの台風が多発し、各所で大雨が甚大な被害をもたらした。解説を聞くと、この異常気象は、結局は地球温暖化に原因があるらしい。原発問題が起こって以来、地球温暖化/京都議定書の話題はすっかりと影を潜めている気がするが、確実に猛暑と大雨と大災害を引き起こしているようだ。

今や米国では天然ガスの主流となりつつあるシェールガスも手放しでは喜べない。天然ガスと聞くとクリーンエネルギーの代表というように聞こえるが、決してそうとは言えない。採掘現場の汚染や地震の増加など多くの環境問題を引き起こしているが、シェールガスに関して長期的に気になるのは温暖化だ。天然ガスの9割を構成するメタンガスは二酸化炭素の21倍の地球温暖化係数を持つ、地球温暖化の疫病神なのだ。

シェールガス発掘時にメタンの漏洩がなければ問題はないのだが、発掘現場の周辺では地表からメタンが湧出したり、地下水に溶け出したメタンが水道栓から漏れるという事態が発生している。アマゾン熱帯林から放出されるメタンは近年大きな脅威となっているし、永久凍土の下にあるメタンハイドレートが温暖化により大気中に放出されるようになれば、さらに温暖化を加速化させる。シェールガスも将来的にそうした大きな脅威の一つになるかもしれない。

原発ゼロが先か、温暖化対策が先か・・・これはまさに、原発稼働が地球を住めない環境にするのが早いのか、あるいは、地球の温暖化が地球を住めない環境にするのが早いのか、という問題に思える。大切なのは、地球はいつかは住めなくなる(つまり、地球と言う星そのものにあと数十億年と言われる寿命があるし、ましてや、地球の生命環境にははるかに早い寿命がある)という事実、そして、人間の存在自体が地球の生命環境を壊す最大要因であるという紛れもない事実だ。原発事故と温暖化の引起こす災害・・・私には二者択一以外の、もう一つの選択肢を探せという神のお告げにも聞こえる。

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