2013年12月 問題を自覚する


パソコンで目を酷使することもあり しばらくドライアイ的な症状が続いていた。たまたま見たテレビ番組「ためしてガッテン」のドライアイ特集で 最近日本でドライアイの新薬が開発されたと知り すぐに眼医者に駆けつけた。やはりドライアイという診断だったが 目薬のおかげか症状は劇的に改善した。主な原因は老化現象だ。歳を取ると目の表面を覆う液の分泌が悪くなるらしい。

また最近やたらと日差しが気になり始め 予防の意味を込めて日差しの強いときには冬でもサングラスをかけるようにしている。以前このコラムでも紹介したタレックス製のご自慢のサングラスだ。ただ同年代の友人が白内障の手術をしたと言うのを聞き もしかして日差しが気になり始めたのはそのせいかもしれないと思い ドライアイで世話になっている眼医者でチェックしてもらうことにした。結果は ごく初期の白内障だと言う。白内障の進行を防ぐ目薬を処方してもらった。原因はやはり老化だ。

ここで考えた。普段気にしていなかったが 世の中には実に多くの老化による機能低下を遅らせる薬が存在している。軽度のドライアイなど我慢すれば我慢できるものだし 初期の白内障など 気づいて眼医者に行こうと思う人の方が稀だろう。老化現象は徐々にやってくるものなので自覚しづらい。ほんのちょっとした症状への気づきで 私の眼の機能は確実に老化を遅らせることができた。

更に考えた。私の現在の主な活動は「考える技術・書く技術」の研修だ。どうやって考えを明確に伝えることができるかを様々な企業で教えている。全体的に言えば 参加者の7割程度は自主的な参加だ。ところが参加者の3割程度が上司から半ば強制的に受講を命じられて参加する人だ。自慢ではないが 自主的に参加する人は驚くほどの改善効果を示す。しかし残念ながら 義務的に参加するような人の改善率はかんばしくないかもしれない。違いは自分の症状を自覚しているかどうかだ。症状を自覚している人は処方箋に従って目薬をさすが 自覚症状のない人は処方箋に従うことなどしない。結果は歴然だ。

一般的な病気であれば 医療技術が進化した時代では 症状の回復度合いは 症状を自覚して早めに病院にいくかどうかにかかっている。極言すれば 普通の病気ならば 症状をしっかりと自覚できれば それで病気は半分回復したようなものだ。ビジネス的に言えば 問題状況をしっかりと自覚できれば それで問題の半分は解決したようなものだと言える。・・・ということは 問題解決で重要なのは いかにして問題を解決するかではなく いかにして問題を自覚できるかということになる。・・・つまり 問題の見つけ方である。

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