2014年7月 ピーク・タイム


ようやく6月が終わった。6月というのは私の仕事上一年でもっとも忙しい月だ。毎年同じだ。なぜ6月が忙しいか・・・元をたどれば4月始まりと言う我が国の会計年度に由来する。

私の今の主な活動は中堅社員向けの教育研修で 窓口となるのは企業の人事部や研修部という部署である。当然のことながら 人事部や研修部は4月から5月半ばまで新入社員研修で多忙を極める。この時期が過ぎたころに それでは次は中堅社員の研修をという話になり 私の出番となるのだ。研修と言うと秋あたりがよさそうだが 少なくとも私の研修はずっと6月が繁忙期である。

私の場合はワンマンビジネスなので繁忙期の存在はそれほど問題ではない。忙しい時に働き 暇なときに休めばよい話であり こなせないほどに仕事が集中すれば日程をずらしてもらうしかない。確かにこの時期に海外出張や長期の国内出張を入れることは不可能だが 事前に分かっているので何とか対応できる。

しかしこれがそれなりの組織ビジネスとなると超大変に違いない。たとえば新入社員向けの研修ビジネスをメインにする企業。いったいどうやって人手を管理するのだろうか。この4月、5月で収入のかなりを稼がねばならないのだが 時期が過ぎると人余り状態になる。

たとえば卒業式/入社式/入学式に必要となるスーツ/礼服のメーカー。おそらくはこのピーク・タイムに向けて布地の仕入れや縫製工場の手配や職人の手配などが必要になるだろう。しかしピークを過ぎれば後は暇になるので それ以外の時期は人も機械も遊ぶことになる。

ピーク・タイムの存在というのはそれ自身が非効率の源となる。逆に言えばピーク・タイムを失くせばそれだけ効率的になる。ピーク・タイムが存在するビジネスでは このピークの分散というのが経営成功のポイントになるのだ。しかしそれにしても 日本の場合 この国の会計年度の硬直性が様々なビジネスにピーク・タイムを強い 経営の非効率化の源になっている気がしてならない。

米国の場合 国の会計年度の始まりは10月だが 民間企業の会計年度は1月から始まるところが多い。ちなみに大学の入学は1月か9月 卒業式は12月か5月が一般的だ。要はかなり柔軟なのだ。そしてこの柔軟さが国全体の効率化を生み出している気がしてならない。少なくとも邪魔はしていない。

東大が秋季入学を検討している時に このコラムで入学時期を春か秋かと議論していること自体が硬直的であって 春でも秋でもよいように セメスター(四半期)ごとの運営体制を強化すべきだと提案したことがある。

四季折々の季節感を否定するわけではないが もっと「いつでもOK」的な通年発想があってもよいのではなかろうか。

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