2014年7月 その2 東京外郭環状道路


私のランニング・コースは 多摩川 野川 仙川の3つだ。家のそばの仙川はお手軽なジョギング用。その次に近い野川は調布の深大寺参拝がてらの気分転換用。多摩川はジョギング道路に距離表示があるので本格練習用である。いずれもきれいに整備された遊歩道が続いており 走りやすい。

小規模の仙川は二子玉川の少し上流で野川と合流し 野川は二子玉川で多摩川と合流している。規模で言えば 多摩川 野川 仙川の順だ。中でも 大きからず小さからずの野川は規模的に実に親しみやすい。湧水も多く 多くの野鳥が生息しており 都内でも珍しい自然が残っている。

その野川の 多摩堤通りから東名高速の間の環境が今激変している。住所的に言えば世田谷区喜多見周辺だ。悪名高き東京外郭環状道路の工事が急ピッチで進んでいるのだ。環八の更に外側を取り囲む東京外郭環状道路は1966年に計画された古いものだが 関越から東名を結ぶ都内区間においては しばらくの間休止状態で 一般住民の頭から消えていた。誰が考えても練馬・杉並・世田谷で今時こんな幹線道路の用地買収などとても無理だろう・・・と私も思っていた。

ところが いつの間にか 知らないうちに大深度地下使用法なる法律ができあがり 40メートル以深であれば公共施設は自由に作ってよいことになっていた(2001年に施行)。というわけで この東京外郭環状道路も地下41~70メートルというとてつもない深さにトンネルを作り 日本最大の地下道路として誕生することになったのだ。このトンネル道路が野川の西側を通過し 途中から地上に顔を出し 東名高速の高架に結ばれることになる。

トンネル道路にめどをつけた政府・都庁は 東名とつながるこのジャンクション周辺地域の用地買収を積極的に行ってきた。数年前から 道路建設の説明会などが地元住民に行われ始めたのは知っていた。しかし 自然豊かな野川沿いのこの地域には多くの住宅があり つい数年前に開発された瀟洒な戸建開発地もある。この用地買収だけでも20年近くはかかるだろうと思っていた。ところが 東京オリンピック決定以降のこのわずか数ヶ月間で 周辺地域の建物取り壊しが目立つようになった。今 東名連結部には巨大な建築物が工事中であり この周辺地域は歯抜け状態のように建物が残っているのみになってしまった。わずか数か月間の出来事だ。

この風景を見るとなぜか いつか見たことがあるようなデジャブ的な感覚になる。野川そのものは残ってはいるのだが 周辺の建物の多くが取り壊しの最中で いたるところにクレーンやショベルカーがある。デジャブではないのは この野川の地下数十メートルの見えない世界に巨大の高速道路トンネルが建設され そこを24時間絶えることなくものすごい数の自動車が行き来するという近未来だ。・・・見えないところで環境破壊が忍び寄っている気がしてならない。

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