2014年8月 横浜マラソンに見るプライシングの不思議


そろそろ秋以降のマラソンを意識する時期になってきた。さて今年の市民マラソンの話題は何と言っても横浜マラソンだろう。今迄ハーフマラソンとして開催されてきた大会が ついにフルマラソンに衣替えをすることになった。その第一回大会が来年3月15日に予定されている。

みなとみらいをスタートし 関内地区を抜けて 首都高速湾岸線を走り みなとみらいに戻るという実にあっぱれな観光コースだ。高速道路上を走るのだから かなりの高低差への覚悟は必要。しかし それを差し引いてもこのコース設定は魅力的だ。

当然 出場は抽選になるのだが この倍率がどのくらいになるだろうかという予想がネットをにぎわしている。ちなみに3万5500人出場の東京マラソンの倍率は10倍。2万8000人出場の大阪マラソンは5倍。ネット情報によると 大阪マラソンの倍率には達しないのではないかと危惧されているらしい。

倍率が低そうなのは 第一回フルマラソンなので認知度が低いせいもあるだろうが 参加費の高さだろう。横浜マラソンの参加費は国内では最高額の1万5千円だ。東京マラソンの参加費は1万800円。大阪マラソンは1万円。国や自治体の税金を一切使わず ランナーの参加費とスポンサーシップだけで運営するのが売りの湘南国際マラソン(同じ神奈川県)ですら 12,500円なのにである。

さらによく分からないのは 参加費が割高な一方で チャリティランナーの寄付額は割安なのだ。東京マラソンの場合 10万円を寄付すれば抽選なしで出場できるチャリティランナー制度というのがある。ちなみに この寄付は昨年から寄付金控除の対象となっている。何せ東京マラソンであるからにして また 団体を選んで純粋に「寄付」するのであるからにして 「10万円寄付してでも」と言う気持ちはとてもよく分かる。私自身はチャリティランナーに応募したことはないが 毎年 どうしようかなと悩んではいる。ちなみに 大阪マラソンのチャリティランナーの場合 必要寄付額は7万円となっている。

ところが 横浜マラソンの場合 チャリティランナーに必要な寄付金は5万円。参加費が1万5千円なので 追加で3万5千円払えば抽選なしで参加できるのだ。う~ん。これは思案のしどころ。しかし 参加費といい チャリティランナーの寄付金といい 誰がどうやって決めたのだろう。

いずれにせよ 倍率数倍なのだから マーケティング的に需要と供給で見れば 参加費はもっと高くても当然と言えるのかもしれない。しかし それは儲けるマーケティングの発想。今回の場合 一般市民を対象とした公共のイベントである。なぜ湘南国際マラソンの意志を貫けないのだろうか。公共マーケティングのセンスに欠けていると言わざるを得ない。