2015年2月 イスラムの指導者へ “ケンジ基金”の提案


とても理解できない。いったい後藤さんを殺害してISISに何のメリットがあったというのか?後藤さん殺害報道の前の事だが テレビのコメンテーターの中には 日本を巻き込むことでのISISの存在感を誇示できた。これによりアラブ諸国の同調者から莫大な寄付を募ることができると言っていた人がいた。しかし 本当にこの結末がISISの資金力強化につながるというのだろうか?

ISISはかなり周到な準備をして戦略的な広報活動をしていると言っていた人 いや未だにそう言っている人がいる。素人の私にはとてもそうは思えない。そもそも 人質の解放条件を途中から180度変えるなどとても考え抜かれた戦略には見えない。しかも日本の人質をとって ヨルダンを交渉相手に引きずり込むなどあまりにも場当たり的ではないか。サジダ・リシャウィ死刑囚との交換条件を出せば ヨルダン側が捕虜パイロットの話を持ち出すなど当たり前だ。パイロット生存の証拠も示せないのにリシャウィ死刑囚を解放させるなどあり得ない。私に言わせれば ISISはまったく勝算も戦略もなく しかも誰にとっても価値のない人質殺害をやってしまった。

ただ一つ今回の人質殺害に彼らなりの成果があったとすれば ISISの狂気を全世界に印象づけたことくらいだ。しかし それすら世界中の多くの人にとって ISISの狂気ではなく イスラムの狂気と受け止められただろう。パリのテロでは 下品なジョークでムハンマドを侮辱したというイスラム共通の怒りもあったかもしれない。しかし 今回殺害された後藤さんは日本のそして世界の良心ともいえるジャーナリストだった。ISISはその良心を抹殺したのだ。

純粋なイスラム教徒たちは今回の事件の大きな犠牲者だ。これはシーア派対スンニ派の問題ではない。スンニ派たるISISは同じくスンニ派の部族に対してすら虐殺を続けている。私は 世界のイスラム教の指導者たちがシーア派もスンニ派も まずは一致団結し 今回の事件に対しイスラムの立場・イスラムの精神を明快に公に述べる必要があると思う。ISISという狂気の排除を徹底的に追求し 真のイスラム教の精神を取り戻すべきだ。

ISISを異端と考えるイスラムの指導者たちよ あるいは 日本在住のイスラムの指導者たちよ たとえば あなた方イスラムの主導で 「ケンジ基金」を作り 全世界に募金を募るなどしてはどうだろうか。この基金を後藤さんの幼い子供たちの将来に使っていただき 少なくとも子供さんたちには異教への憎しみを持たないように育っていただきたいと思う。それが後藤さんの生き方でもあっただろうから。

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