2015年7月 異常気象が異常でなくなる日
暑い。本当に暑い。35度を超える日を猛暑日と制定したのは2007年。しかしそれ以前は猛暑日ではなく酷暑日と称していたらしい。個人的には酷暑日の方がふさわしい気がするけれども 40度の日のためにとっておこうとしたのかもしれない。これは異常気象だ。しかしもうこの状況を「異常」と言えない段階に来ているのが怖い。
昨年発表されたIPCCの評価報告書はこういう表現から始まっている。「人類が現在の気候変動に多大の影響をもたらしているのは明白であり 特に最近の人類による温暖化ガス排出は過去に例を見ない規模で進んでいる。すでにこの気候変動は人類と自然環境システムに広範かつ大きな影響を与えている。」
このIPCC報告書の概要を記した環境省の解説には日本の例が交えて説明されており その分 身につまされる。(2014年環境省 IPCC第5次評価報告書の概要 –第1作業部会-)
この環境省解説のグラフを見ると日本の平均気温は世界平均を上回る速度で上昇しており 年間猛暑日は明瞭な増加傾向にある。しかも降水量は年間の変動幅が徐々に拡大している。つまり集中豪雨の回数も明瞭な増加傾向にある。21世紀末には集中豪雨(1時間降水量50ミリ)の発生回数は現在の2.5倍になると見込まれている。1時間50ミリの雨量とは 地下街に雨水が流れ込み マンホールから水が噴出し 土石流などの災害が発生するレベルという。
日本近海は表層でも深海でも 世界平均を上回る速度で海洋温度が上昇しており かつ酸性化が進んでいる。海は人為起源の二酸化炭素の30%を吸収しているのだ。高い海水温と酸性化が進むとサンゴは死ぬ。このままでは日本沿岸の熱帯・亜熱帯サンゴ礁の分布に適する海域は2020~2030年代には半減し 2030~40年代には消失すると予想されている。今 辺野古埋め立てでサンゴへの影響が懸念されているけれども もしかすると数十年もしないうちにこの議論すら意味がなくなる可能性がある。
世界の平均海面水位は上昇を続けており RCP8.5(元も温暖化が進んだ場合のシナリオ)では今世紀末までに45~82センチの海面上昇。RCP2.6(最も温暖化を抑えたシナリオ)でも26~55センチの上昇が予想されている。ちなみに59センチ上昇すると、東京湾、大阪湾、伊勢湾の海抜ゼロメートル地域は今より5割増大する。
集中豪雨、洪水、土石流、農作物不作、漁業不振、感染症発生・・・人類は地球にあと何年生きられるのだろうか。まだまだ暑い日が続きそうだ。