2016年1月 ハワイ最新不動産事情 「ケ・キロハナ」
さて今日は今ハワイの不動産市場をにぎわせている「ケ・キロハナ」と呼ばれるコンドミニアムの話し。ケ・キロハナはカカアコ地区に建設される中所得者向けの第一号コンドで 今月(1月)から物件説明会が始まる予定だ。間もなく販売開始で完成は2018年の予定。
オアフ島では 西部のカポレイ地区から空港を通って ショッピングセンターで有名なアラモアナ地区までモノレールが通ることになっており 今その工事が急ピッチで進んでいる。アロハスタジアム パールハーバー海軍ベース 空港 チャイナタウン ダウンタウンを通るチョー便利もの。ハワイ初の電車だ。2017年には一部開通 2019年には全面開通の予定になっている。
この一方の起点となるアラモアナ地区の西に隣接するのがカカアコ地区と呼ばれる区域で ここが今大規模再開発の目玉地域になっている。何せ歩いてアラモアナ地区まで行け モノレール駅がすぐそば 海もすぐそば。便利この上ない立地条件。今迄パッとしなかったこの地区がモノレール計画とともに再開発の目玉として大浮上したのだ。今後15年間で40階を超す高層コンドが22棟建設予定になっているというから まさに西新宿並みの高層コンドビル地区の誕生だ。すでに4棟販売されたコンドはいずれも高級コンドながらほぼ完売状況だという。
このカカアコ地区の開発でユニークなのは開発業者に開発住居の20%をReserved Housingとしなければならないという取り決めがあることだ。Reserved Housingというのは低・中所得者向けに市場価格よりも安い価格で売り出す住戸のことだ。この20%相当はキャッシュ支払でも可能で その場合は州がそのお金を低所得者向け住宅の建設費用に回すことになる。
冒頭で紹介した「ケ・キロハナ」と呼ばれるコンドはそのReserved Housingの第一号である。ユニークなのはこの住戸は中所得者(ギャップ・グループ)向けのものとなっている点だ。ギャップ・グループとはその地域の平均所得(Area Median Incom:AMI)の100~140%の人を指している。ちなみに このAMIは米国政府から毎年公表されている根拠のある数値だ。発想はAMI100%以下(平均所得以下)の人には低所得者用の住宅を計画し 140%以上の人には市場価格で買ってもらおうという考えだ。というわけで 今回はその取り残された中間層(ギャップ・グループ)を対象とする施策である。
このコンドは44階建て424室あり うち375室がReserved Housingで 49室は市場価格で販売される。申し込みにはさまざまな条件があり 例えば ①初めての住宅購入者 ②ハワイ在住者 ③所得がAMIの140%以下 ④保有資産がAMIの140%の125%以下 など。Reserved Housingの価格は30~50万ドル。一般庶民にはこれでもかなりの額だが 市場価格より30~50%安いのではないかと見られている。というわけで 説明会は予約満杯状況。もちろん抽選販売です。
しかし 抽選ベースとは言え この中間層を救うという発想 実にすばらしいと思いませんか。日本で聞いたことがない。総中流社会の中 もしかして中間層というアイデアそのものが日本にないのだろうか。