2016年2月ふるさと納税初体験


昨年はじめてふるさと納税を行い 今月その申告を行った。実によく出来た制度だと思う。

ふるさと納税を申告すると所得税が控除される。ただし これは普通の寄付金控除と同じで 税額控除ではなく所得控除だ。つまり所得金額からふるさと納税額が控除される。結果として ふるさと納税に所得税率をかけた分だけが税額マイナスとなる。一方 住民税は税額控除だ。これには特例があり 上限規制と2千円の控除はあるものの その制限下 ふるさと納税した全額が所得税・住民税から控除されるように設計されている。つまり ふるさと納税とは 税体系をいじらずに 寄付金の仕組みを使い作り上げた制度ということだ。

税金を納める側から見れば ふるさと納税によって得られるお礼の品の分だけは確実な得になる。ふるさと納税額でもらえるお礼の品の金額割合を還元率とよんでいるが 高い所では40%に達するという。平均でも20~30%は行くだろう。

ふるさと側から見れば 正味の税収はお礼の品のコストを控除した金額となる。しかし恐らくはかなり安く仕入れているだろうし 地元の産出者から直接調達するのだから大きな地域振興になる。実際に私の経験から言えば こういう地域にこういう特産があったのかと初めて知ることも多い。また恐らくは 今年もかなりの率で同じふるさとにリピート納税することになるだろう。結構な税収増に加えて 地域振興と長期の地域宣伝になるのだからこのメリットはすごい。まだふるさと納税に積極でない市町村の方はぜひしっかりとそろばんをはじいてみるべきだ。

一方 所得税が控除される国にはあまり特典がなさそうだが そもそも所得税の場合 税額控除ではなく所得控除なので それほどの痛手はない。また 税金が地方に回るのだから間違いなく地域活性化となっている。直接的なデメリットがあるとすれば ふるさと納税をする人が多く住む自治体だ。確かにこうした自治体では住民税収入が減る。しかし結局はふるさと納税額には上限があるし しかもほとんどが都市圏のリッチな自治体だ。こういう自治体の積極的な住民サービスを促すという意味では歓迎すべきだと思う。

ふるさと納税でもっとも痛手を受ける東京都では石原元都知が導入時に猛反対をした。しかし 尖閣諸島の寄付金募集でもそうだったかもしれないし 今回の東京オリンピックでもふるさと納税を募るということは十分に可能だと思うがいかがだろうか。

ふるさと納税の経験から言わせてもらえば 決してお礼の品だけが目的ではない。ふるさと納税をする時に使途を選べると言うのは大きな驚きであり喜びである。自分のお金が自分の希望に沿って使われるというのは いったい何に使われているのかも分からない今の所得税や住民税の「徴収されている」という感覚とはまったくの別物だ。昨年は暴風雨災害の発生した常総市にもふるさと納税をした。お礼は市長からの感謝の手紙だった。それでいいのだ。

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