2016年11月 トランプ大統領の悲劇?


11月もいろんなことがあった。中でもピカイチはトランプ新大統領候補の誕生。まだ選挙から一ヶ月しかたっていないのに あまりにもいろいろな報道があったためか ずいぶん前の出来事のような気がする。

トランプ当選後 各地の小学校の黒板に 「黒人は出ていけ。有色人種は出ていけ」などの人種差別発言が書き込まれ 移民管理局のビルにも落書きが相次いだそうだ。ハワイ在住の娘は「(人種差別のほとんどない)ハワイでよかった。これが他の州だったら 子供のことが心配でならない」と言っていた。どうしてこんな差別主義者が大統領に選ばれたのか 私にはまったく理解できない。もちろん共和党の保守主流派にとっても同じことなのだが 共和党支持の一般ピープルにも同様意見の人が多いようだ。

娘の旦那の出身はペンシルベニア州フィラデルフィアで子供は4人。両親は現在フィラデルフィアの片田舎(ランカスター)に住む労働者。3人の子供もオハイオなどの近隣州に住んでいる。日本人の私の娘と結婚しハワイに住む三男の旦那だけがやや異色である。さてペンシルベニアの片田舎で労働者階級と言えば はっきり言ってバリバリの共和党支持者である。旦那一家も 今迄聞く限り両親も四人の子供も皆生粋の共和党支持者だった。ところが今回の大統領選は違っていた。

娘によると トランプに投票したのは両親だけで 子供たちは皆トランプ以外(クリントンやリバタリアン候補)に投票したとのこと。選挙後 次男がブログでトランプ大反対を書いたところ 両親の耳に入り それ以降 親子絶縁状態が続いているという話しだった。これは 高齢者がトランプを支持したが 若者はクリントン支持という結果と同じだ。またテレビ報道によると 共和党支持者でトランプ以外に投票した人の割合は 民主党支持者でクリントン以外に投票した人の割合よりも高かったというではないか。身近な例を見ても本当にそうなっていたのだ。

トランプ大統領誕生を招いたクリントンの選挙下手は救いようがない。しかし 今回の大統領選で唯一希望が持てるのは 若者の共和党支持者の間に地殻変動の兆しがみられたことだ。ティーパーティの誕生そして今回のトランプ騒動 私は今回の選挙が共和党支持基盤に強烈な変化をもたらす引き金になったのではないかと考える。大統領選と上下院選で勝利した共和党は 勝利の故に苦難の道を歩むことになるだろう。そして私はそれは良いことだと思う。

個人的には トランプは議会(共和党主流派)とのせめぎあいの中で大きなことは何も決めることができないだろうと思う。というかぜひそうなってほしいと思う。それは史上最悪の大統領を抱くことになった米国社会 そして世界にとり良いことだと思う。四年間 辛抱の時代だ。