仕事ストレスで伸びる人の心理学
初版: 2006年3月
著者: サルバトール・マッディ、デボラ・コシャバ
訳者: 山崎 康司
本書構成
第1部 弾力性とは何か?ハーディネストは何か?
第2部 ハーディネスを身につけ、弾力性を高める
第2部(1) 3C姿勢を身につけ、弾力性を高める
第2部(2) 問題解決型の対処を身につける
第2部(3) 支えの交流を身につける
第3部 雇用主と従業員の結びつきを強める
解説
リストラ、合併、買収などすさまじい職場環境の変化が現代の職場特性である以上、ストレスを避ける、減らすなどのアプローチは無理。ストレスに正面から立ち向かい、ストレス状況を上手く舵取りし、その中で自分を成長させる姿勢とスキルを身につけなければならない。本書では、どうすればこの姿勢とスキルを身につけることができるか、その実践論を、多くの実例を交え、分かりやすく解説しています。すでに米国で定着化している、いわゆる「レジリエンス理論」と呼ばれるものを一般読者向けにい解説したものです。癒しやメンタル・ヘルスとは異なる米国流のポジティブなアプローチが特徴です。
著書はストレス心理学の世界的権威、サルバトール・マッディ博士。彼が主張するハーディネス手法は、企業はもちろんのこと、軍隊、オリンピック選手、警察官・消防官、大学などの教育機関で採用済みです。厳しさと優しさに満ちたすべての働く人に向けて書かれた応援の書、実践の書です。
書評
本日の一冊は、ストレス心理学の世界的権威、サルバトール・R・マッディが、ストレス下でも業績を上げるための条件について述べた、注目の論考です。著者が注目するのは、ストレス社会で生き残るためのレジリエンス(弾力性)とハーディネス(頑健さ)。ストレス環境下でも成果をあげるためのこれら2つの要素を、どうやれば身に付けられるのか、興味深い仮説が示されています。
紹介されている事例は、イリノイ・ベル・テレフォン社における12年におよぶ調査・研究や、ウエスト・ポイントにおけるリーダーシップとハーディネス(頑健さ)の関係、コンサルタントの報酬とハーディネスの関係など。
一冊読み終わる頃には、優れたビジネスパーソンになるための考え方や心構えが身につく、そんな本です。どんな環境でも成果を出せる人になるために、またいつでも成果をあげられる組織をつくるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。(ビジネス・ブック・マラソン、土井英司)