過去のひと言


2021年11月その2 新車納入

今日 新車が納車された。VWゴルフ・ヴァリアントという今年8月に新モデルが登場したステーション・ワゴンだ。

今迄夫婦二人ということもあり アルファロメオのジュリエッタというコンパクト・カーに乗っていた。特段クルマに関心が深いわけではない。9年前 夫婦二人でそんなに大きな車に乗る必要がなくなった時 アルファロメオの出した新型モデルが目に入った。その新型モデルの紹介記事を見ていたら 40数年前の大学建築学科の同級生にアルファロメオ大好き人間がいたことを思い出した。たしか大学生の身分でアルファロメオの中古を乗り回していた。なぜかその頃 彼が熱っぽく語っていたアルファロメオという響きが記憶に蘇り ついつい乗ってみたくて仕方ないような気になった。

アルファロメオは確かに美しい。しかも 昔と違い 故障とはほとんど無縁だった。また たとえコンパクト・カーであっても走りの遺伝子は健在。ステアリングの動きをきびきびと伝える走りはとてもよくできた車だと思う。ただし 9年乗った今 個人的な事情のため もう少し後部座席が大きく 荷物も入るクルマが必要となった。

色々考えた末に 次に買うクルマはステーション・ワゴンと決めた。設定したクルマ選びの判断基準は車の大きさだ。車幅はアルファロメオより短いこと。つまり 1800mm以内。私の歳で世田谷の狭い道を運転するにはやはり車の幅が重要だ。車長は今より300mmくらい長め。つまり 4650mmくらいがいい。あとできればだが 乗り心地に影響するホイールベースは長ければ長いほどよい。

ところがホイールベースどころか 車幅と車長で私の基準にかなうクルマがほとんどないことに気づいた。ベンツもアウディもBMWも欧州の高級車はすべて1800mmを超す車幅。さすが日本車はそれほど大きくはないが それ以前に 日本車はSUV全盛期。そもそもステーション・ワゴンというものが数えるほどしかなくなってしまった。

ひそかにプリウス・アルファ(プリウスのステーション・ワゴン版)の新モデルを期待していたが 新モデルどころか昨年に廃版が決定。今 日本のステーション・ワゴンと言えば カローラ・ツーリングとスバル・レヴォーグくらいだ。しかし カローラ・ツーリングは若干短すぎるし スバル・レヴォーグは若干長すぎる。

それにしても不思議なのがカローラ・ツーリングだ。この車のサイズは「1,745x4,495mm, WB:2,640mm」。しかしよく調べると日本よりも一足先に発売されたカローラ・ツーリングの欧州版は「1,790x4,650mm, WB:2,700mm」。そう これこそが私の求めているサイズなのだ。もちろんハイブリッドありだ。なぜ今の時代 トヨタはわざわざ日本向けに小さなモデルをだしたのか 不思議でしょうがない。車幅も車長もホイールベースも欧州版と違うのだ。名前を別にすれば もはや違うクルマだ。調べると この欧州モデルは某業者により日本にも並行輸入されている。私のような思いをする人もいるわけだ。

結局 あれやこれやと考えた時 今年の8月初めに売り出されたのが VWゴルフ・ヴァリアントだった。サイズは「1,790x4,640mm, WB:2.670mm」。カローラ・ツーリングの欧州モデルとほぼ同じサイズ。どう見ても ステーション・ワゴンを買おうと思っているならばこのサイズになると思うのだが・・・。残念なのはガソリン車しかないこと。これは私の個人的なニーズを優先し 目をつぶることにした。

乗った印象?まず今時のクルマの操作に驚いた。この9年の間にここまで進化していたとは気づかなかった。進化というよりはスマホ化と言った方がよい。操作はほとんどがタッチパネル。スマホと同じだ。もちろんスマホとの連携が前提(ただこれは進化の過渡期のためか接続がよく切れる)。CD機能もなければSDカードも読み取れない。あるのはUSBポートが2つと多彩なBluetooth機能。70過ぎでガラケーを手放せない友人が 今の新車は運転できないと言っていたが その通りだ。

もちろん スマホと同じく ナビ画面などのマニュアルはない。使い方はユーチューブの操作法紹介で勉強するしかない。現状 操作で手一杯で 走りの印象まで頭が回らない。少なくとも 老化防止の頭の運動にはなる。よほどのことがない限りぶつからないし 適度な高齢者向きと言えるかもしれない。

2021年11月 さようなら立憲民主党

私は過去の国政選挙で自民党に投票したことがない。はっきり言って根っからの権力嫌いなのです。というわけで 民主党政権がめちゃくちゃな失敗に終わった後も 応援の意味を込めて 最大野党だった立憲民主党に投票してきた。その私が 今回だけは 立憲民主党への投票はやめることにした。そしておそらく今後もだ。というよりも 次の選挙では立憲民主党という名前すら残らないかもしれないのではないかと思っている。

きっかけとなったのは6月に行われた枝野代表の日本外国特派員協会での演説だ。彼は着々と準備が進んでいた東京オリンピックを今すぐ中止か一年後に延期すべきだと言い放った。そして 「IOCとの交渉が難しいのなら 関係者の出入国を規制すればよい。出入国の権利は政府が持っているのだから強引にでも開催を中止することは可能だ」と言った。これがあと一か月半後に迫った時の野党第一党代表の発言なのだ。しかもそう発言したときの枝野代表はまさに自分の発言に自信満々のしたり顔だった。

このテレビ報道を見て これはダメだと確信した。外交音痴どころか 国際センスのかけらもない。まさに自民党には何でも反対 理由など後からつければよいという感じだった。大昔の何でも反対の社会党のデジャブである。というよりも 昔の社会党は政権奪取など考えない批判政党として存在していたのでまだ許せる。立憲民主党は真顔で政権奪取を狙うと公言している党なのだ。残念至極というしかない。

これは立憲民主党が共産党との間で 閣外協力と候補者一本化を約束する前の話だ。しかし 上記のテレビ報道の印象が強かった私にとって 共産党との連携話など「なるほど」以外の何物でもない。立憲民主党に籍を置く小沢一郎氏が二大政党制を目指して小選挙区を作った時 彼の頭に会ったのは米国の共和党と民主党のはずだ。これだったらわかる。しかし 枝野代表が目指している二大政党制とは 自民党vs大昔の社会党のように見える。これではいつまでたっても政権交代など起きるはずがない。かつての自民党長期政権でずっと見てきた光景だ。

さて それでは私の票はどこに行ったのか。そりゃ 日本維新しかないでしょ。議員数を減らせ 議員歳費を減らせと言ったのは維新だけだし 大阪都構想で見せた粘りは記憶に新しい。コロナでみせた吉村府知事の行動力も印象深かったし ともかく地方で確実にやるべきことをやってからという まとも感がある。いろいろ問題議員は多そうだけれども それを補う世代交代感も強く感じる。あとは代表辞任を表明した松井代表なきあとのリーダーシップだ。ここを乗り切れれば もしかすると 日本維新は大化けするかもしれない。今回の立憲民主党の低迷と維新の躍進は決して一時的な流行ではない気がしてならない。

2021年10月 老いの花

先日 BSテレ東の「武田鉄矢の昭和は輝いていた」でフランク永井の特集をしていた。フランク永井と言えば「有楽町で逢いましょう」で有名な昭和を代表する歌手だ。作曲家 吉田正に見いだされ コンビで数々のヒット曲を残している。

そのヒット曲の一つに「おまえに」がある。吉田正が妻への感謝を込めて曲を作り 岩谷時子が詩をつけている。吉田正は当初からフランク永井に歌わせるつもりだったが 同時に当時34歳の彼はこの歌を歌うには若すぎると感じていた。一方で 歳をとるとともにどのようにこの歌を歌いこなせるようになるかに興味を持った吉田正は 結局 数年おきにレコーディングをし その成長を確かめるという長期計画を思いついた。

実際 この曲は 計画通りに3度レコーディングされている。フランク永井34歳の時 40歳の時 そして 45歳のとき。実に11年をかけた長期プロジェクトだ。第1回目のレコーディングではB面だったが 第2回目からA面になっている。そして 最後の45歳バージョンで 「おまえに」は大ヒットとなった。番組では 34歳バージョンと45歳バージョンの二つを聞かせてくれたが まったくの別物。もちろん45歳の歌に圧倒的な軍配だ。武田鉄矢は 時機を得て輝きを放つ若い花には勝てないが 老いの花というのもあるとコメントした。

私事だが 人を教える教育研修という仕事にも確かに「老いの花」がある。私はライティング思考法「ピラミッド原則」を教えてすでに30年になる。30年も同じことを教えているとだいたい極めた感はあるのだが それでも いまだに新たな気づきがある。内容というよりも教え方だ。内容的にはほぼ極めているのだが これをどう教えたらよいかという点では到達点はない。正直30年前の教え方と今の教え方はかなり違ってきているし 教材は今でも半年に一回バージョンアップを繰り返している。どちらの教え方がよいのか 手前味噌で恐縮だが 圧倒的に今の教え方の方がよいように思う。あたかも「おまえに」の詩や曲は基本同じなのだが 歌い方がまるで違うのに似ている。

私の研修では 研修の終わりに 「一日一回15分使い 簡単なピラミッドを書きなさい。これを4カ月続けて ピラミッド思考を習慣化させなさい。テーマは日々のビジネスを対象にするのがよいが 何でもよい。習慣化が目的なので ごく簡単なもので構わない」と伝えることにしている。先日 研修を受講した方から「一日一回ピラミッドをやっているがネタの見つけ方で苦労している」というメールを頂いた。今迄この種の質問には「何でもよいから 日々感じた問題点を対象にすればよい。あるいは 今日出したビジネス・メールをピラミッド型に作り直してもよい」などと答えていた。でもふとこれじゃ伝わらないかもと考えた。考えた挙句 以下のような返信を書くことになった。

「日々業務で疑問に思うテーマを拾い そのテーマに関して上司やお客に報告書や提案書を書くことをイメージしなさい。その報告書や提案書をどんなロジック構成にすればよいか 仮説的でよいので簡単なピラミッドを組み立ててみます。例えば ① …が今の問題を引き起こす最大の原因だ。そう判断する根拠は第一に… 第二に… 第三に…(報告書)、例えば②問題解決のために…プロジェクトを立ち上げるべきだ。このプロジェクトの目的は… このプロジェクトの構成は… このプロジェクトのチーム体制は…(プロジェクト提案書)、例えば③問題解決のために…すべきだ。第一ステップとして…し、第2ステップとして・・・し 第3ステップとして…(行動計画)など」。

返信メールを出した後に考えた。なるほど。こういう風に説明すれば 日常業務をこなす際に 常に問題意識を持って仕事をするという姿勢が必要なことが分かる。ネタ探しが日々の問題意識につながるのだ。また一つ教えのヴァリエーションが増えた。またひとつ賢くなった。まだまだ老いの花は枯れてはいないようだ。

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