過去のひと言


2017年3月 ランドセル購入の教訓

私には5人の孫がいる。今春 2番目の孫が小学校に入る。小学校のランドセルはジジババが買うというしきたりに従い 2人の孫には私がランドセルをプレゼントした。二人の孫にプレゼントしたのは 子供のリクエストに従い 売れ筋ナンバーワン「天使のはね」ブランドのランドセルだ。約7万円。それまで知らなかったのだが ランドセルは通常は前年の夏頃に注文し 入学年の1月頃にお届けになる。つまり 在庫なしの受注生産だ。それで7万円・・・これは高い。

さて 2ヶ月ほど前 ハワイに住む次女から 2人の孫を連れて夏休み(6/7月)に一月半ほど里帰りをするという連絡があった。ハワイ生まれの上の孫(私の3番目の孫)は今年8月からアメリカの小学一年生になる。アメリカの場合 実際には小学校に併設するキンダーガーテンが小学校0年生に相当するので 感覚的には去年の夏からもう小学生みたいなものだ。新たに小学校入学と言う意識はなかったが 日本流に考えれば この孫も今年から小学校入学だ。

娘によると 里帰り中 自宅近くの区立の小学校に一ヶ月くらい通わせたいという話しである。最近の公立小学校ではこういう受け入れ制度が充実しているらしい。というわけで たとえ一ヶ月と言う間でも仲間外れにしたくはなかったので もう一つランドセルを買うはめになった。娘は 短い期間だし これ以降どうなるか分からないので一番安いものでよいという。というわけで 格安ランドセル探しをすることになった。

調べた結果 中国ブランドのランドセルであれば ネットで5千円くらいから売られている。アマゾンのランドセル・ベストセラー商品(5つ星評価)は 1万6千円する中国ブランドのものだった。日本製と比べれば格安ではある。ネット上でいろいろ調べた結果 結局 このアマゾン・ベストセラーのランドセルを購入することにした。もしかすると一ヶ月しか使わないかもしれないので 娘は5千円のもので十分だと言う。しかし そこは孫のため 私にとっては大盤ふるまいだ。

しかし配達されたそのベストセラーのランドセルを見て正直がっかりだった。日本製を見慣れた私の眼にはどうしても安っぽいビニール様のふち止め仕上げが気に入らない。安いとはいえ 1万数千円する商品なのだが・・・。妻はこれで十分ではないかと言ったのだが どうしても気に入らない。結局翌日 返品することにした。アマゾン・マーケットプレースの商品ならだめだったかもしれないがアマゾン直売商品だったので返品はOK。さすがアマゾン。

その後 ネットでいろいろ調べたが 結局 細かな仕上げは実物を見なければわからないと判断。もちろん 身近で実物を見られるのは 日本ブランド商品しかない。そこで日本ブランドの中の格安商品がないか調べることにした。上記ベストセラーの「天使のはね」(セイバン)の価格帯は59千~92千円。量販店ブランドならば安いだろうと思ったが イトーヨーカドー・ブランドは39千~74千円。イオン・ブランドは35千円~14万円。えっー スーパーでもこんなに高いのかと驚くばかりだ。結局 見つけたのはニトリ・ブランド。ここは、22千~39千円。結局 近くに開店したばかりのニトリを訪れ実物をチェックした結果 22千円のランドセルを購入することにした。実はこの商品は中国製らしい。しかし さすがニトリ。どこから見ても日本製と同じ仕上げ。さすがである。

教訓1:中国製が悪いのではない。大切なのはブランドの信用力である。

教訓2:ネットでは写真に注意。やはり細かい点は分かりにくい。返品可能かどうかをしっかりとチェックする必要がある。少しでも返品の可能性がある商品や高額商品は 必ず返品可能なサイトからしか購入してはいけない。アマゾンで購入するときはアマゾン・マーケットプレース商品ではなく アマゾン直販商品にした方がよい。

2017年2月 サヨナラ JAL

いよいよJAL(日本航空)が私から遠のいていく。私のように 時間的にもお金的にも若干の余裕の出てきた中高年というのはJALが今後力を注ぐべき潜在顧客層のど真ん中にいると思っていたのだが どうやら違ったようだ。

今まで羽田発着だったホノルル便は今年4月からすべて成田発着となることが発表された。先月 突然の発表だった。普段 多くの広告メールを寄こす割に JALカード保有者であり 昨年夏に羽田・ホノルル便を利用したJAL顧客の私などには一片の連絡メールもない。まさに突然である。

JALに限ったわけではないが 羽田・ホノルル便は航空会社のドル箱だ。羽田発着便は成田発着便よりも若干割高なのだが それでもビジネスクラスは常に満杯といってよい状況だし エコノミーだっていつ乗ってもほぼ満員だ。この状況であれば 羽田が成田になろうがJALにとっては傷は少ない むしろリッチな企業顧客開拓のためにニューヨーク便を羽田発着にするほうが得策だと踏んだのだろうか?・・・しかし本当にそうだろうか。

もちろん ANAもハワイアン航空もホノルル便は羽田発着のままである。ハワイに娘家族があり 年に2回ハワイを訪問する私に限って言わせていただければ 今後よほどのことがない限り成田発のホノルル便に乗る気はない。つまり JALに乗ることはない。私は特殊ケース?いや 60歳以上の中高年ならば間違いなく私と同意見だろう。また 小さな子供をつれた家族旅行の方だって多くは私と同意見だと思う。少なくとも私にとって 今回の出来事はいよいよJAL離れの決め手になりそうだ。

言っておくが 私は20年以上前からJALカードの会員だし 妻も数年前に会員になっている。この会員カードだけのために年間何千円も支払っているお得意さんなのだ。JALが苦境にあったときも JAL支援の意識もあり 国内便はほとんどJALを使ってきたほどだ。

たかがホノルル便の羽田発着がなくなるだけで大げさなと思うかもしれない。しかし実は数年前にもこれに似たことがあった。私はセキュリティ上のことを考え クレジットカードはほとんど アメックスを使用している。会社の経費の立替えなどもアメックスを使用しているために その使用金額はかなりのものになる。というわけで 貯まったアメックスのポイントもかなりのものになっている。実は いつか暇になったらこのポイントを使って旅行でもしようかと思い 有料(年数千円)でJALのマイレージにポイント移行できるようにしていた。ところが 数年前 何の前触れもなしに JALが突然アメックスとの提携を破棄したのだ。もしかするとアメックスが破棄したのかもしれない。いずれにせよ いったい今まで私がポイント移行のために毎年支払ってきた費用はどうしてくれるのか?

当然の結果として 私はJALの代わりにANAのマイレージに移行できるようにした。そして これを機会に 今までJAL一辺倒だった私の国内旅行・出張は徐々にANAに乗る機会が増えていった。そういう私にとって今回のホノルル羽田発着便の廃止は最後通牒に等しい。どういう背景でこうなったのか知らないが どう見てもJALはホノルル便の羽田利用顧客層を軽視している。AMEX顧客層を軽視した過去の経験に懲りていないらしい。

2017年1月 チェ君の話

明けましておめでとうございます。さて 今日は季節感のまったくない話をひとつ。昨年の私個人のビッグニュースの上位にランクされる話です。

今から40年近く前 私が米国ビジネススクールに留学していた時の事 韓国人留学生チェ君と親しくなった。彼の実家は韓国でナンバーワンの電池(サンパワー)を製造する韓国証券市場上場の化学メーカー。オーナー企業の経営者だった。名門ではあるけれども財閥間の競争に立ち遅れた小財閥というところだろうか。彼はそのファミリーの長男。父親は長男を米国ビジネススクールに留学させる一方 次男はドイツの大学院に留学させていた。典型的なエリート一族である。

米国ビジネススクール卒業から10年近く経った頃 P&Gが韓国に合弁会社を立ち上げるという話しが日経新聞に載った。よく読むとその合弁の相手がチェ君の会社だった。P&Gは合弁候補の中でもっとも小さな相手を選択したとあったが 後でP&Gの方に聞くと 跡取り経営者であるチェ君の人柄と能力を高く評価した結果だったという。すぐにチェ君におめでとうの連絡をすると 折り返し ソウルに遊びに来ないかとのメッセージ付きで 大韓航空の東京・ソウル間ファーストクラスのオープンチケットが送られてきた。(その後 チェ君の社長時代 自社立て直しのために この合弁企業の持ち分はP&Gにすべて売却。P&G韓国は今はP&G100%となっている。)

さて そのチェ君ともここ数年ごぶさたしていた。連絡をとろうとするとメールがつながらない。会社のHPを見るとどうも雰囲気が違うし 彼の名前はどこにもみあたらない。電池事業は既にデュラセルに売却されていた。ようやく ビジネススクールの同窓会ネットワークに彼のメールアドレスを発見したので近況伺いの連絡をしてみた。すぐに返事がもどってきた。なんと彼はソウルではなくニューヨークにいた。彼曰く

電池を始めとした会社の事業はその多くがミッド・テクノロジー。ハイテクならまだしも ミッドテクの将来は難しい。いろいろ考えた末に 会社を事業ごとに分割し 一つ一つ売り払ったという。その後 家族全員でニューヨークに移住し 今はニューヨークでファミリー資産のファンド運用をしているという。

なるほど 確かに頭の中では理解できるし それがもっとも妥当な選択だったと言えるかもしれない。しかし 彼は ファミリーという絆を大切にする生粋の韓国人であり しかも そのファミリーの長男なのだ。ミッドテクとはいえども韓国最大電池メーカー企業のトップだったのだ。その彼がファミリービジネスのすべてを売却し しかも 韓国と言う祖国を離れ 60歳にしてニューヨークに移住したというのだ。ものすごい苦渋の決断であり 親戚一族から非難の嵐だったのではないかと思う。

ファミリービジネスを捨て 祖国を離れ 60歳にしてゼロに立ち戻った勇気・・・すごい!たとえ私にお金があったとしても 日本を離れ しかも激動のニューヨークに移り住む勇気があるだろうか?・・・ニューヨークでなく ハワイだったらありかもしれないが。

(昨年11月に 新著「入門 考える技術・書く技術【スライド編】」を上梓しました。ご参照ください。)

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