過去のひと言


2024年 S国際学園

私の下の孫娘は今 小学4年生。我が家の近所に住み 近くの区立小学校に通っている。ハワイ生まれのハーフで 日本に引っ越して2年以上経つ。英語塾で英語力の維持に努めているおかげもあり 何とかバイリンガルを維持している。

その母親 つまり私の娘が 英語塾から中学のパンフレットをもらってきた。中高一貫のサレジアン国際学園世田谷校。聞いたことのない名前だ。よく読むと 我が家から徒歩圏内にある目黒星美学園(世田谷)が2023年からサレジアンに改名したという。もともとカソリックの同じグループだが 思い切って日本の学校運営を統合・大改革することにしたらしい。女子校だったのを共学にしたうえで 名前が示すように国際教育に舵を切るらしい。

パンフレットを読むと 本科の他に インターナショナルクラスがあり そのインターナショナルクラスはレギュラーとアドバンスドの2グループで構成されている。レギュラーは日本人でグローバルを目指す人が対象。一方 アドバンスドは帰国子女が主な対象のようだ。アドバンスドのクラスでは英数理社は英語オンリーの授業(英米と同じ授業ということ)で その他は日本語という。つまりインターナショナルスクールとは違い バイリンガル育成を目指しているらしい。ただし ケンブリッジ国際校の認定を受けているので 学位はグローバルに通用する。

ちなみに日本にある大手の小中高一貫インターナショナルスクールはほとんどがケンブリッジ国際カリキュラムの認定を受けているし 大手は日本の文科省からも認定を受けているので 欧米や日本の高校卒業の資格が得られる。ただし 授業や学校の運営はすべて英語。父母への連絡も先生とのコミュニケーションもすべて英語だ。

サレジアンの学費は授業料他で年間100万円。お高めの気もするが 公立学校で塾にかかる費用を考えるとそれほどではないと言えるかもしれない。ちなみに いわゆる日本のインターナショナルスクールは年間250万円以上する。調布にあるASIJは300万円を超す。

サレジアンのパンフレットを読んで この学校が目指している国際教育に心から共感した。よくぞこういう学校ができたものだ。しかしなぜ今までこんな学校が日本になかったのだろうか。もしかして私が知らないだけだったのか。ともかく かなり時間がかかったものの 日本の教育もようやくここまで来た感じ。日本の将来も捨てたものではないと心から感じた。

さて サレジアンのインターナショナルクラス・アドバンスドへの入学には英検2級が必要とある。ほぼバイリンガルの孫娘にとって英検2級の難関はライティングと2次試験のQ&Aらしい。例えば「気候変動」に関してエッセイが求められたり 面接で自分の考えを説明する必要があるという。小学4年生にとってこれは厳しい。しかし英検2級が受かれば 後は入試というものはなく エッセイと面接だけらしい。考えてみれば日本の中学受験の塾通いと比べれば 実に有意義な受験準備ではないかと思えてくる。

そして先週 小4の孫娘が英検2級に合格したという連絡があった。この調子なら入学時に奨学金をもらえるのではないかと言ったところ 娘曰く 英語は問題ないけど算数が・・・と学校の算数のプリント答案を見せてくれた。うへっ! これではやはり算数の塾にも行く必要があるかも。教育は一筋縄ではいかない。

2024年2月 世界の10大リスク

1月半ば 地政学の権威 イアン・ブレマー氏が代表を務めるユーラシア・グループが 恒例の「世界の十大リスク2024」を発表した。

リスクNo.1 米国の敵は米国
リスクNo.2 瀬戸際に立つ中東
リスクNo.3 ウクライナ分割
リスクNo.4 AIのガバナンス欠如
リスクNo.5 ならず者国家の枢軸
リスクNo.6 回復しない中国
リスクNo.7 重要鉱物の争奪戦
リスクNo.8 インフレによる経済的逆風
リスクNo.9 エルニーニョ再来
リスクNo.10 分断化が進む米国でビジネス展開する企業リスク
リスクもどき:①米中危機 ②ポピュリストによる欧州政治の乗っ取り ③BRICS対G7

今年の報告書は 恐ろしい言葉で始まっている。いわく 「2024年。政治的にはヴォルデモートの年、恐怖の年、口にしてはならない年である。三つの戦争が世界情勢を左右する。ロシア対ウクライナは3年目、イスラエル対ハマスは3カ月目に入った。そして米国対米国の争いは、今にも勃発しそうだ。」 この3つの争い(米国内、中東、ウクライナ)がブレナーの挙げる3大リスクだ。

中でも最大リスクとして挙げられたのは米国内の争い。1月15日の米国大統領アイオワ党員集会ではトランプ氏が51%の得票を獲得した。50%を超えるかどうかが注目されていたが 結果としてこれを上回った。対トランプ候補として注目を浴びていたヘイリー氏は3位にとどまった。続く1月22日のニューハンプシャー予備選でもヘイリー氏に10ポイントの差をつけてトランプがトップを確保した。このまま行くと よほどのことがない限り今年もトランプ対バイデンになりそうだ。

トランプ氏にとってみれば 有罪か大統領かという瀬戸際の戦い。バイデン氏が勝てば就任時には82歳 任期終了時にはなんと86歳。ブレマー氏によれば 米国民の大多数が何れの候補者も望んでいない。そして この望まない二者択一の結果は 幾つかのスウィング州の何%かの有権者に握られている。日本が小選挙区制導入時に 見本とした米国の二大政党制は完全に機能不全に陥っている。しかも この機能不全の結果が世界の未来を左右するのだ。

リスクNo.2に挙げられた中東の争い。ブレマー氏がここで言及しているのは イスラエル対パレスチナにとどまらず ガザを超えた地域拡大への危惧だ。まずはイスラエルとヒズボラの紛争拡大。これはすなわち イスラエルを支持する米国とヒズボラを支持するイランの代理戦争だ。このことは米国対フーシ派にもあてはまる。米国は イランが武器供与する武装組織フーシ派の拠点に対しすでに攻撃を開始している。一方 フーシ派をはじめとする反イスラエル感情は中東全域に そして米国内にも広がりつつある。

リスクNo.3はウクライナ問題。ブレマー氏は 西側諸国の支援削減に伴い ゼレンスキー大統領がリスクの高い戦略をしかけるかもしれないと危惧する。最悪の場合 NATOも戦争に巻き込まれかねない。トランプ大統領が誕生すれば当然だが バイデン政権下でも議会が追加支援を渋る米国は欧州の信用を失う。米国とNATO間の溝は深まるかもしれないとブレマー氏は言う。

この報告書を読んで改めて感じたのは 世界はつながっているということだ。ブレマー氏の挙げたリスクはかなり直接的に相互に関連している。米国内の分裂はイスラエル中東問題と関連しているし ウクライナ・ロシア戦争とも綿密に関連している。これにガバナンスが追い付かないAI(テクノポーラ)の暴走を加えれば 何百本もの映画が出来上がるだろう。

さて この状況の中で 我々は何をなすべきか。ブレマー氏は報告書の最後をこう締めている。「今いるこの惑星でより良い仕事をすることに集中しよう」。・・・我々としては できることを正しくやるしかない。

2024年1月 準備(と忍耐)

あけましておめでとうございます。 しかし 元旦の能登大地震 2日の羽田航空機事故と衝撃なニュースを目にすると 素直に「おめでとう」と言い難い気がする。とりわけ能登大地震の強風の中の火災をリアルタイムで目にしているときは神戸大地震のなすがないままの大火災を思い出さずにはいられなかった。

今日は4日夜 いろいろとその後のニュースを耳にすると 準備の大切さを改めて感じている。個人的には能登方面にはあまり馴染みがない。しかし ニュースによると 2007年の能登半島地震(M6.9)をはじめとして この地域は最近地震が繰り返し起きていたという。特に 2018年以降は頻発し 2022年にはM5.4の地震も起きるなど 大地震への警鐘が鳴らされていた。そこに今回のM7.6の大地震。ある意味 起こるべきして起きたと言えなくもない。だとすれば もう少しだけでも地震への準備ができなかったのだろうか。個人では無理にしても せめて自治体はもう少し準備はできなかったのだろうか。個人の準備を後押しすることはできなかったのだろうか。

一方で 羽田の事故。海保で5名もの死者が出たのは本当に残念至極。しかも能登地震の支援物資を送る救援機の事故と聞くと言葉も出ない。しかし あの燃え盛るJAL機を見ながら いったい乗客はどうなっているのかとじっと画面を見ていた時に 「乗客・乗員全員脱出」の言葉を聞いた時 本当に安どした。というか驚きだった。テレビを見る限り 着陸の際に発火後 すぐに火に覆われるような感じで1キロ滑走していき 止まった時にはすでに機体そのものからはっきりと見える火が上がっていた。それからおそらく20分も経たないうちに火だるまになっている。この間に全員脱出など本当にJALの普段からの準備の賜物と頭が下がる。

話は変わるが 箱根駅伝では大方の予想を覆して 青学が駒大に実力勝ちした。よくよく聞くと 完全制覇を狙って1万メートルのトラックから力を磨いてきた駒大に対し 青学は箱根に的を絞り 20キロのロードに絞って準備を重ねてきたという。ちなみに 出雲駅伝(駒大優勝)では 青学は5位。全日本大学駅伝(駒大優勝)では 青学は2位だった。考えてみると 出雲駅伝は6区(平均7.5キロ/区)全日本大学駅伝は8区(平均13.4キロ/区)に対して 箱根は10区(平均21.7キロ/区)。つまり 箱根では20キロ以上走れる選手を10人以上育成する必要がある。この3つの大会を同じやり方でチーム育成するのは 素人が考えても難しい。そこを割り切って 最初から箱根に焦点を絞って準備した原監督はさすがだと思う。

元旦から3日間 ずっと頭をよぎったのは「準備」の大切さだ。今年はこれで行きたいと思う。

蛇足ですが 年末から今に至るまで喉を痛め体調がすぐれない状態で 5割方寝正月。年末の紅白歌合戦もベッドでラジオを聴きながら 時々起きてテレビを見るという感じだった。というわけでフルにテレビ鑑賞したわけではないが 今年は過去数年で一番面白かった気がした。とくに私にとっては キャンディーズや薬師丸ひろ子さんの「セーラー服と機関銃」はまさにドンピシャの時代。また 有吉弘行さんが藤井フミヤさんにサポートされながら「白い雲のように」を歌う姿は泣けてきた。電波少年で脚光を浴び その後に続く不遇の時代。よくぞ耐えたと有吉君を心からほめてあげたいと思った。今年の目標に「準備」に「忍耐」を加えよう。

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