過去のひと言
2011年3月No.2 地震その2
今日は3月22日。未だに、福島原発の現場では必死の闘いが繰り広げられているようです。東京電力、東京電力関係会社、東芝・日立などの納入メーカー、消防士、自衛隊など、現場の皆様の命をかけた闘いに心からの敬意を表し、安全と成功をお祈りいたします。
危機においては本当にメディ アの大切さを実感します。特にこのような原発事故の場合、一般メディアが現場に入れないだけに、ニュース内容のインパクトは倍化します。実際、我々は消防 士の方の現場報告を聞くまで現場の状況はまったく分かりませんでした。一方で、政府や東電の発表は未だに時差があり、具体性にかけるものばかりで、原発推 進の一端を担ってきた原発専門家は大丈夫を連発するばかりです。
生の情報から距離を置けばお くほど、情報の不正確さは増大し、しかも、悪い方向へと増大します。しかしどうも、米国などのメディアでは実に極端な報道がなされているようです。私の米 国人の友人からは、ロングアイランドに週末にしか使っていない別荘があるので、もしよかったら休暇を兼ねてしばらくこちらですごさないかというありがたい 申し出がありました。某米国系外資系企業では米国人の家族を帰国させるために特別便を手配したそうです。以前、そこに務めていた私の日本人の知り合いは、 昔の上司から、家族と一緒にこの便に乗って米国に避難しないかとの連絡があったそうです。ハワイを含め、米国の主要空港では日本からの乗客すべてに対し放 射能測定が行われています。台湾では、予定されている米国人数百名の日本からの避難に備え(すでに96名が避難済み)、米国政府がホテルを確保中で、一気にホテルの予約が難しくなっているそうです。
こうなると、自分自身でしっかりとした判断をするしかありません。情報が不足している中での判断は、やはり、情報源の立場になって推測するしかありませ ん。これに従えば、12日、地震の翌日に避難区域が20キロに拡大された時点で、危機はスリーマイル島を越えたと判断できます。スリーマイル島の場合、避 難区域は10マイル(16キロ)だったからです。また15日には30キロ以内に屋内退避の指示が出ました。チェルノブイリの場合、30キロまでが避難区域 だったので、この時点で、チェルノブイリよりは若干よい程度との判断が可能です。30キロ以内が避難区域に制限強化されれば、チェルノブイリ並の危機と判 断できます。もちろん、あくまでも個人の見解ですが、政府が過去の事例に基いてしか判断できないという体質に従えば、結構、有効な気もします。しかし、す べての報道情報を疑いの目で見なければならないというのは、実に疲れる、人格形成に良くない状況ではあります。
2011年3月 地震
今回の地震の被害にあわれた皆様方に心からお見舞い申し上げます。テレビで災害の状況を見ると言葉も出ません。
3 月11日金曜日、川崎にあるお客様の研修所で研修中に地震にあいました。即座に停電となり非常灯に切り替わりました。携帯電話はまったく通じません。外に 避難すると、当然ですが、停電なので信号も消えたままです。足裏で地面が揺れるのを感じました。今までの私の人生で最大の揺れでした。研修参加者の携帯の 一部がワンセグにつながり、震源地が宮城・岩手沖であることを知りました。川崎でこれほどの揺れという事は、震源地は一体どうなっているのか、まったく想 像できません。
地震発生から1 時間半後、ようやく研修中断・解散が決定し、川崎から世田谷の自宅まで2時間半歩いて帰りました。自宅に着くと、さすが東京、棚の一部から物が落ちて散乱 していたものの、まったく停電の跡は見られませんでした。帰宅後、ずっとテレビを見ていましたが、見れば見るほど明らかになる悲惨な状況に言葉も出ませ ん。研修参加者の中には仙台から出張参加した方がいましたが、連絡はついたのでしょうか。
地震の後の週末、ずっとテレ ビの地震報道を見ていました。何の具体的なことも言わない一部の政治家の会見には本当にあきれてしまいますし、とりわけ、責任逃れ的な中身のない発表と受 け答えに終始する原子力安全・保安院の一部の役人には怒りを感じました。また、勉強不足のくせに偉そうに声高に原発非難を繰り返し、同意のコメントを求め ようとする一部のニュースキャスターの傲慢さには非常に腹立たしく思いましたし、何の根拠もないのに最悪の事態など起きるわけがないと言い切る原発専門家 にも驚きました。
もちろん、何の計画性もなしに計画停電を発表した東京電力のノー天気状況には、こんな会社が今、原子炉問題に必死に取り組んでいるのかと背筋が寒くなるほどです。(現在3月14日11時、未だ計画停電は実施に移されてはいません。)・・・しかし、言いたい事はいっぱいあるが、今は何も言いますまい。ともかく、被災者の救済、被災地の復旧が一日も早く行われますように、原子炉の封じ込めが確実に成功しますように、今はただ祈るだけです。
2011年2月 携帯 その2
携帯電話を外出・出張中の電話程度にしか利用していなかった私は、数年前に購入した機種で事足りていた。しかし、気分的に、そろそろ新たな機種にでも買い換えようか、やはり、買い換えるとすれば今の時代、スマートフォンかなと考えていた私だが、AU から「来年の7月から周波数の割り当てが変更になるが、私の使っている携帯電話は古いので、その周波数では使えなくなる。早く買い換えろ」という内容の手 紙を受け取ったときには驚いた。驚いたというかあきれて物が言えなくなった。もし家族割りを使っていなければ、即刻、他社の携帯に乗り換えただろう。
この一方的なAU 宣言に怒り心頭に達した私だが、「買い替えの方には特別割引があります」という同封案内でまあ許してやろうかという気分になり、早速、スマートフォンに買 い替えるためにAUショップにでかけた。そこでの店員の一言、「この特別割引はスマートフォンには適用されません」。数年前であれば怒鳴り声をあげていた かもしれないが、正直、もうそうした元気もでなかった。昔にさかのぼれば、私はNTTドコモからAUへの乗り換え組である。NTTドコモにうらみはなかっ たが、日本の通信市場全体を考えれば、やはり通信事業の寡占化はよくないだろうと、多少はKDDIを応援するつもりでAUに乗り換えた経緯がある。
結局のところ、今回はAU のままスマートフォンに機種変更することにした。まさにAUの狙いのままというところなのだろう。しかし、AUさん、次はないと思った方がよい。これから 2年後、AUは恐らくは、私と妻の少なくとも二人は顧客から失う事を覚悟した方がよい。携帯だけではない、光ファイバー、プロバイダーその他、すべての私 の選択肢から、KDDI/AUは消えてしまった。こんなことを平気でやる企業風土に疑問をもったからだ。携帯だって、これからは出来る限り多くSkype を使う事にしようと心に決めた。
さて、新たに買ったスマートフォン(Android) だが、やはりいろんな意味で便利ですね。IPhone未経験者の私にとっては、デスクトップPCがラップトップになり、iPad型になり、ついに、携帯に なったと言う感じ。ここまで来ると、従来型の携帯電話がスマートフォンになったというよりも、パソコンが携帯になったという印象だ。ということは、パソコ ンで繰り返された競争原理がこのスマートフォンの世界でも繰り返されると言う事だろうか。はたして、スティーブ・ジョブズのいないアップルは一体どうなる のだろうか?グーグルはどうやって利益を上げ続けるのだろうか?マイクロソフトの巻き返しはあるのだろうか?・・・最近の新技術はビジネスのあり方そのも のを根底からひっくり返してしまうので、面白くて目が離せない。しかし、どんなにビジネス・ロジックが変わろうが、顧客を無視するメーカーに明日はないと いう論理は変わらないだろう。
2011年2月 携帯
私の携帯は海外では使えないので、海外旅行の際はいつも携帯電話をレンタルしていた。しかし、どうも高いという気がしていたので、先日、海外旅行の前に、もっと安いところはないかとネットで調べてみた。そこで発見したのが海外用携帯電話の買取りである。
本当に勉強不足だが、そんなものがあるとは知らなかった。私が買ったのは米国用のもので、買取り価格が8,000 円以下。携帯が壊れない限り、ずっと通話分だけの支払いである。月額基本料などない。しかも、米国の電話番号なので、通話代は60円/分。米国から日本に かけても80円/分だという。レンタル携帯と比べるとおそらく3分の1以下だ。米国の場合、受信者側にも費用が発生するが、これならば相手に負担をかけな くともすむ。合計費用で比べると、今まで、一週間くらい携帯をレンタルすると何やかやと総額で7~8千円はしていたので、これはお得である。
私 はモベル社という販売会社から購入したが、ここは、米国携帯のみならず、英国の電話番号で、世界で使える買取り携帯も販売している。若干、通話料は高いが 基本料金なしで数千円なのでレンタルと比べると絶対お得だと思う。・・・と言う話しをホノルルにいる娘に話していると、米国ならば、プリペイド携帯の方が お得ではないかという話しになった。う~ん、確かに値段からするとプリペイドの方が安そうだが、・・・これは検討対象外でした。
考 えてみると、もうずいぶんと前から、国内旅行も海外旅行もホテルの電話機を使わなくなった。少なくとも、外線にはまったく使わない。べらぼうに高いから だ。実際、レンタルであれ、買取りであれ、携帯電話なしで旅行するという事はほとんど考えられない時代になった。必要最小限の通話しかしない、携帯は必要 悪と考えている私でさえこの状況である。ホテルの部屋にある電話機からは外線不通という時代ももうすぐかもしれない。
それやこれやと考えていると、突然のようにAU から「あなたの携帯電話は2012年の7月から使えなくなります」という重要郵送物が届いた。「来年の7月から周波数の割り当てが変更になるが、私の使っ ている携帯電話は古いので、その周波数では使えなくなる。早く買い換えろ」という手紙である。信じられますか? ・・・(次回に続く)
2011年1月No.2 社員教育(その2)
現在、さ まざまな会社で教育研修を実施していますので、社員教育担当の方とお話しする機会が多くあります。つくづく思うのですが、教育担当の方を見れば、その会社 の将来が見えてくる気がします。つまり、どういう人を人材育成の部署に配置するかということでその会社の人材育成への考えが見えるのです。本当にそう思い ます。
私の会社は大企業ではありま せんし、私自身が有名人というわけでもありません。したがって、私の教育研修を取り入れているお客様は、ほとんどの場合、教育担当の方が、人づての紹介や 私の書物などに興味をもって研修を採用し、内容に価値ありと判断して実施している企業の方ばかりです。言い換えると、私のお客様(お客様の教育担当の方) は、皆、能動的に人材育成に取り組んでいる方ばかりです。従来の研修内容につねに疑問を持ち、どのような研修がよいだろうかと模索している方ばかりなの で、良いと思えば積極的に採用してくれますし、方針に合わないと判断すれば研修計画から外すということになります。つねに真剣勝負です。
もちろん、セミナー会社に人材育成プログラムを丸投げするというお客様は一社もいませんし、また、受けるか受けないかは社員次第というような無責任カフェテリア方式を採用しているお客様もいません。(おかげさまで、私のお客様の研修リピート率はほぼ100%です。
“人材育成に大きな関心を持ち、力を入れている”ことが伸びる会社の条件だとすれば、今現在、私の研修を採用している企業は皆その条件に当てはまると言えます。実際に私の顧客企業リスト名を見ていただければ、この説に納得していただけるはずです。
しかし、さまざまな企業の研 修担当者(とりわけ管理職)の方とお話をすると、どうもこのような企業ばかりではないことに気づきます。たとえば、実際に、“人事部担当部長(研修担 当)”などの名刺をお持ちの方の中には窓際族的な方が少なくありません。正直、窓際族の方に人材育成を任せるのは酷です。従来の研修と異なる試みは一切や ろうとしません。また、先日お会いした外資系企業の場合には、まったく違う業界から転職採用した、研修分野の経験のない人物を研修センターのヘッドに据え ていました。どういう事情でそういう事態が発生したのかは知りませんが、そういう人に人材育成を語らせるのは無理というものです。人材育成はその会社の生 命線だからです。
人材育成とはR&Dです。よい人材を育てようと思えば、まずは自社の人材育成担当に超優秀な人材を配置することから始めるのが良いでしょう。・・・隗より始めよです。
2011年1月No.1 社員教育(その1)
あけましておめでとうございます。本年が皆様に取り幸多き年でありますように。
さて、季節感のない話で恐縮ですが、私は世田谷通りを走る民間バスを使って三軒茶屋のオフィスまで通勤しています。この路線を運営しているバス会社は、小田急バスと東急バスの二社です。二社がほぼ同数のバスを走らせています。
12 月下旬、自宅に帰るバスの中での話しです。隣に立っている中年の男女がひそひそ話しをしていました。耳をそばだてると、“この運転手は一言もしゃべらな い。次の停車駅の名前も言わないし、停車するとか通過するとかも言わない。ちょっとおかしいのではないか”という内容です。気になったので、私も運転手さ んの言葉を注意深く聞いてみると、なるほど、確かに一言もしゃべらないのです。次の停車駅の名前も言わなければ、ありがとうございましたの一言もありませ ん。すべて、社内放送任せです。何を言っているのか聞き取れないようなぼそぼそ声でしゃべる運転手さんはよく見かけますが、黙りこくった運転手さんは初め てです。当然、気になって、乗っているバスが小田急なのか東急なのかチェックしました。そもそも小田急と東急はバスの概観がそっくりですし、車内では会社 名は小さいプレートが運転手の上に張られているだけなので、どちらのバス会社なのかがとても分かりにくいのです。
仮にこのときに乗っていたバス会社(小田急か東急のどちらか)がA 社だったとします。それ以降、とてもこの事が気になったので、バスに乗るたびに、心の中で運転手さんの採点をやるようにしました。良い/普通/悪いの三段 階評価です。結果は驚くべきものでした。悪いと評価した運転手さんのバスはすべて(文字通りすべて)A社でした。一方で、良いと評価した運転手さんのバス はすべて(文字通りすべて)B社でした。“普通”評価も入れて、運転手さんの所作からバス会社占いをしても9割は当たります。もし世田谷通りを走るバスを 利用される方がおられたら、このバス会社占いをやってみてください。私の言うA社、B社がどちらを指すかがすぐに分かります。
バ スの場合、バス会社を選んで乗るということはほとんどありません。運転手さんのサービスがひどくてもすぐに収益に影響が出てくるということはないので、経 営者はこうした問題に気づきにくいのでしょう。また、バス会社の社長がバスに乗るという事もあまりないのでしょう。(少なくとも、A社の社長が自社のバスに乗っていない事は断言できます。)しかし常識的に考えると、この運転手さんのサービスの悪さは、あるいは運転手さんをはじめとする従業員教育の貧弱さは会社経営の様々な側面で影響を及ぼしているにちがいありません。
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