過去のひと言
2023年1月 オンライン環境への対応
あけましておめでとうございます。今年が皆様にとって発展の年でありますように。
さてコロナが大変なエピデミックだと認識され始めたのが2020年1月。もう3年も経ってしまった。あっという間の3年だったような気がする。歳を取ると一日を長く感じ 一年を短く長く感じるようになるというが これは歳のせいなのだろうか。それとも あまりも過激な変化のせいだろうか。
先日 歳を感じる出来事があった。研修中に アリスのコンサートに行った話をした時 「アリス」を知らない人がそこそこいたのだ。娘にこの話をしたところ 30代前半だったら知らなくても不思議はないという話になった。ということは 私の好きな「高橋真梨子」などはほとんど通じないと思った方がよさそうだ。はたして「中島みゆき」も通じないのだろうか 「ユーミン」はどうだろうか。
ただ IT環境に関しては何とか時代についていっている気がする。コロナのおかげというか オンラインのおかげで必要に迫られたからだ。今やっているオンライン研修は2020年の7月からスタートしているけれども その間 本当にいろいろなことを経験してきた。
オンライン研修のスタートが若干遅れたのは 私の研修での必須機器である書画カメラの活用が問題だった。ZoomでもWebexでもTeamsでも機能共有で書画カメラを使おうとすると画像の切り替えに3秒近く画面が真っ黒になってしまったのだ。これでは実用に使えない。ということで私を映すカメラ画像 書画カメラ画像 パワポ画像の3画像をビデオスイッチャーで切り替えて Zoomなどを運営するPCに入力することにしたのだ。基本構想はすぐにできたのだが ちょうど半年前に売り出された評判のBlackmagic社製の廉価版ビデオスイッチャーの入荷に3か月待つことになった。
オンライン研修を主宰して問題になったのはやはり通信環境だ。私のオフィスは光ファイバーを部屋まで引っ張っているので基本的に通信回線上の問題はないのだけれども それでもオンライン当初 時々だが画像が不安定になることがあった。Zoomに相談すると画像の問題のほとんどは回線の問題だという。ということで まずは回線をIPv6に切り替えるようにプロバイダー契約を変更しルーターを買い替えることにした。これでかなりの問題は解決した。今はダウンで300Mbps アップで90Mbpsくらい行く。ところがそれでも画像が急にがたつくことがあった。弊社のシステム顧問によると 原因は ウィンドウズの自動更新だろうということになった。というわけで 今は オンライン研修の実施予定日にはウィンドウズの自動更新を延期するようにしている。これにより回線上の問題は現状すべて解消された。
さらに 昨年はオフィス建物の大規模改修とぶつかり 2か月強 騒音を避けるために レンタルオフィスでオンライン研修を主宰することを余儀なくされた。通常Zoomなどの主催に使っているのは会社のデスクトップなのだが 移動のために自宅で使用しているラップトップで代用することにした。しかし5年前のラップトップはCPUのコア数が2。やってみると やはりこれでは荷が重すぎる。ということで これも新たなラップトップに買換えになった。驚くことに買換えた最新ラップトップ(上位機種)のCPUコア数は12もあった。簡単に書いているが実はここまで来るのに実にいろいろのことがあった。
今年はもう少しグレードアップするためにペン入力を活用しようと考えている。昨年秋 iPadを買い替えた際にアップルペンを購入し その拡張性に気付いたのだ。最終的には書画カメラ上で手書き添削する代わりにパワポのスライドショー上で直接ペン入力できないかと考えている。メリットは 参加者の画面上で 書画カメラ経由よりも若干鮮明度が向上すること。デメリットはパワポ・スライドショーの拡大表示機能が不十分なこと。ペン入力が可能なタブレットPCを購入する前に まずは 通称「液タブ(液晶ペンタブレット)」の普及版を購入しそれで試してみることにした。
変化はつきない。つきない変化に付き合うのは実に面白い。
2023年3月 脚痛
今 個人的な最大のテーマは脚痛だ。昨年末 左足の太もも裏(ハムストリングス)を痛めてしまった。年明け 痛いのを我慢して ハーフマラソンを二度走った。何とかそれなりに走れたが 痛みが引かない。というわけで2月初めから近所の整形外科でほぼ毎日のように療法士のリハビリを受けている。実は脚痛は今回三度目。すべて左脚で 最初は左膝(ランナーズニー) 次に足の裏(足底筋膜炎)。今回 ついに真打登場といったところだ。実際に フルマラソンで何度か脚がつりそうになったことがあるが 場所はいつも左のハムストリングスだった。
骨に異常はない。原因は筋肉だ。療法士の先生によると 筋肉がカチカチだという。ハムストリングスそのものはもちろんだが ハムストリングスと膝のつなぎ目や お尻とのつなぎ目がとくに痛む。考えてみると 今までろくな準備運動も事後ストレッチをせずに走ってきた。加齢による筋肉の劣化でそのツケが一気に出たらしい。
それでも痛みが多少和らいできたので 3月5日の東京マラソンに出場した。チャリティで10万円寄付して得た出場権だ。そう簡単にギブアップできない。しかし 当日朝は予想以上の寒さだった。無理をせずに完走はしたものの 当然 結果は今一つ。4時間45分。今までのマラソンでワーストに近い記録だった。まあ 意識してゆっくりと走ったのでやむを得ないが それでも4時間半くらいでは行けるだろうと思っていたので 内心がっくり。しかも フルマラソンの反動は大きく 以降 脚はさらにコチコチになり 痛みは悪化してしまった。
それにしても年明けのハーフでは2時間は軽く切っていたし フルマラソンも31回目。ちょっとなめていた。今更ながら ハーフとフルは別ものだと再認識してしまった。療法士の先生からは 「プロのマラソン選手でもフルは年に2回くらいしか走りませんからね。それくらいダメージが大きいんでしょう」と慰められてしまった。
いま様々な器具を試している。筋肉痛に悩む人のご参考に主観的評価を挙げてみよう。まず シックスパッドのパワーローラー。シックスパッドのFoot Fit(足を乗せるだけでふくらはぎを強化するEMSマシン)は妻のお気に入り。こちらのパワーローラーは電気で円筒形のものを振動させる器具だ。EMSではなく単なる振動だが 割といい。使いやすい。ただ使ってみて分かったのだが 筋肉の表面部分には効果があるが 深い筋肉のコリには今一つ。臀部の深い部分のコリはギブアップだ。
トリガーポイントのグリッドフォームローラー。これは自分の手で凝った筋肉をぐりぐりとするローラーだ。手動なので力は要るが 深い部分の筋肉にはこちらの方がよい。また ストレッチボードもなかなかいい。斜めになったボードに垂直に立ち アキレス腱やふくらはぎをストレッチする器具だ。共通するのは EMSや振動の機械に頼るのには限界があるということだ。
ただ 今の私のおすすめベストは NHKで再放送している「古武術に見た体の使い方」というテレビ番組だ。このテキストを買い テレビを見ながら頑張っている。やはり最終的には 器具ではなく 自分の体を使ってトレーニングするのが一番のようだ。ただ番組の最初を見過ごしたので NHKにはぜひ再再放送か 番組配信をお願いしたい。
さて4月出場予定の富士五湖100キロマラソンをどうするか。朝5時スタート夜7時ゴールの14時間ランなので 前後の2泊 河口湖の温泉旅館を予約済みだ。しかも妻も 応援ではなく温泉につられて 同行するという。二人の宿泊分を投資済みなのだ。なんとかスタートラインには立ちたいと思います。
2023年4月 ワーク・ライフ・バランスに想う
先日 某コンサルティング会社で行ったマーケティング研修の時 若い参加者から 「今はワーク・ライフ・バランスが重要視されているのですが 先生の時代はどうでしたか」という質問があった。ワーク・ライフ・バランス?・・・はっきり言って 私の時代には 若い時も歳取ってからも そういう発想とは無縁だった。
学卒後 最初に就職した総合商社はもちろんモーレツ商社マンの時代。ひたひたと押し寄せるバブル前夜の中 毎日深夜の帰宅だった。一時期は 週のうち半分はタクシーでの深夜帰宅だった。タクシーの中で眠っているのだが いつも自宅近くのゆったりとした長いカーブに差し掛かると 目が覚める。運転手さんから「タクシーに乗り慣れてますね」と感心されてしまった。
最初の子供が生まれたとき 私は商社の仕事でイラクのバグダッドに出張中だった。ちょうどイラン・イラク戦争の最中で 駐在員をしばらく日本に帰国させたいので その間 約一か月 イラクで駐在員の替わりをやってくれという話だった。最初の子の出産予定日だったが その時に留守になることをあまり気に留めなかったし 上司もほとんど気にしなかった。今考えるとあり得ない。まったくもってワーク・ライフ・バランスとは無縁の時代だった。
その後に転職した米系コンサルティング会社でも毎日深夜まで仕事をしていた。ただこの時から働く意識が変わってきた。日本の会社ではないので いつクビになっても生きていけるようになろうと覚悟を決めての転職だった。サラリーマンではあるが意識としては「自分の力で生きる」という気持ちだった。一方で やるにつれコンサルティングという仕事がますます好きになってきた。コンサルティングというのは知的職人的な側面があって 特にその職人的な側面に惹かれていったのだ。夜遅くまでの仕事はまったく苦にならなかった。というか 楽しかった。ツボづくり職人や靴作り職人が仕事に没入するようなものだと思う。そしてこの頃から 商社マン時代とは違った意味で ワーク・ライフ・バランスとは無縁の生活に入っていった。
ワーク・ライフ・バランスとは仕事と生活のバランスがとれた状態を指すらしいが これは雇われ人の発想だ。職人(よく言えばプロフェッショナル)など自分の腕一本で仕事をしている人にとっては 「ワーク=ライフ」なのだ。したがってワークとライフのバランスという発想はない。
先日 エンゼルスの大谷選手がヤンキースとの試合を終えたときの囲み取材でニューヨークの街の印象について質問された。答えは「一度も街に出たことがないので分からない」だった。遠征先では睡眠管理が第一。彼は生活のすべてを野球に捧げているのだ。世界のニューヨークシティではあるものの 大谷選手にとってみればニューヨークの街歩きなど優先順位は下の下なのだ。通訳の水原さんの話によると 大谷選手の結婚はしばらくはないらしい。元ヤンキースの松井秀喜さんが結婚したのは34歳の時。大谷選手も松井さんを見習っていて それくらいになるまでは野球しか考えないということだった。
職人(プロフェッショナル)を自負する私にとって ワーク・ライフ・バランスを超越した彼のプロフェッショナリズムには憧れと尊敬を抱くだけだ。
2023年5月 ペン入力奮闘記
最近 仕事でペン入力をよく使うようになった。課題の添削作業やオンライン研修でのパワポ解説に利用している。
ペン入力に目覚めたのは 半年近く前にiPadを買い替えた時だ。追加購入した付属のアップルペンで遊んでいるうちに その使い勝手の広さに気付いた。まず考えたのは添削作業だ。今までわざわざプリントアウトした紙に赤ペンで添削し それを書画カメラで撮り PDF化するという いかにも紙の無駄遣いをやっていた。これは即座にペン入力に切り替えることにした。
ペン入力でやるにあたって まずは iPadに無料パワポをインストールしたうえで MS OneNoteアプリを使ってみた。しかし やってみるとファイル操作が今一つ使いづらい。そこで iPadではなくWACOMの液晶タブレットを使ってペン入力することにした。漫画家がアニメを画面で描きこむ あのツールだ。この液晶タブは何度か実践で試してみた。要は PC画面をHDMIで液晶タブに映し込み マウスの替わりにペン入力を使って操作するという仕組みだ。しかし PCと液晶タブの2つの画面を見ながら作業するのはやってみるといかにも面倒だった。
というわけで 結局 今まで避けていたMS365(Office)のサブスク購入を決断し iPad上で積極的にパワポやワードを使うスタイルに行きついた。今 添削はすべてiPad上のみでやっている。残念ながら iPadは一番シンプルなものなので アップルペンも第一世代。作業中に時々接続が途切れるのが欠点。しかし まずはそこそこ上手くいっている。何よりiPadだけで完結できるので作業が大幅に効率化した。不要になったWACOMの液晶タブはモバイルモニターとして利用している。
添削作業のペン入力に慣れてくると オンライン研修でのパワポ解説もiPadのパワポでやるほうが便利かもという気になった。何しろ スライドビュー中にペンで書き込みができるからね。スライドビュー中にペン入力で自由に書き込みができるほかに気付いたメリットがある。それはスライドの拡大機能だ。iPadではパワポ・スライドビュー中に 指で自由に拡大・縮小ができる。PCでは「虫眼鏡機能」を利用するが 拡大の大きさが一つに規定されている。これは実際にやっているときわめて大きなメリットだ。
デメリットもある。その一番はハイパーリンクだ。Windowsパワポではスライドに簡単にハイパーリンクを張ることができる。これが iPadでは難しい。同じフォルダー内の別ファイルへのハイパーリンクがうまく設定できないのだ。今うまい方法はないかと検討中だが どうも簡単にはできないみたいだ。
試行錯誤の結果 一応 iPadやペン入力も必要に応じて使えるようにはなった。しかし MSアプリ使用を前提にすれば 次に買うのは やはりMS Surfaceだろうか。・・・しかし キリがないな。
2023年6月 100kmマラソン総括
4月に出場した富士五湖ウルトラマラソン100kmの総括です。結果から言えば 途中にある6つの関門のうち 72km地点にある4つめの関門で制限時間に間に合わずあえなくギブアップ。
完走できなかった理由はいくつかある。まず前年末から続いていた左ハムストリングス(太もも裏の筋肉)の痛み。とくに膝との接合部とお尻との接合部の痛みがとれなかった。1月末から週に2度 整形外科で療法士のマッサージを受けていた。かなり改善したものの完全回復とはいかなかった。今でもまだ整形外科に通っている。療法士の方からは 筋肉の柔軟性がなくなっているのが原因だと言われた。要は筋肉劣化(老化)ということらしい。更には体幹・腹筋など体全体の筋肉を強化しないといけないとの忠告だった。
ただ100kmマラソン時点では 9割近く回復し そこそこ走れるようになっていた。何しろ2万5千円の参加料の他 大会前後2泊のホテル代 総じて10万円近い投資だ。というわけで出場強行。しかし練習不足は否めなかったので 悪くても第3関門(56km)までは頑張ろうという気持ちで臨んだ。
スタート当日 脚の痛みが気になったので ロキソニンを服用して臨むことにした。5時スタート 4時間近く走っていると今度は足の指が痛くなった。これは予期せぬ場所。かなり痛い。迷った結果 走っている最中に再度ロキソニンを服用することにした。6時間内の連続服用は禁止との注意書きはあったが 最初の服用からちょうど6時間経っている。まあ大丈夫だろう。しかし これが大きく足を引っ張ることになった。
10時頃を過ぎると天気はカンカン照り 体感では25度を超す暑さになった。走るには過酷だ。この暑さと空っぽの胃にロキソニンが効いてきた。胸がむかつき始めたのだ。昼過ぎには胃が水以外何も受け付けなくなった。ポカリスエットすら飲む気がしなくなった。消化器官は人間の臓器の中でも最も大切。胃の不調は走る意欲に影響を及ぼし始めた。結局 最初にノルマ設定した第3関門56キロを通過はしたが その後の坂道でかなり歩く結果となった。第4関門近くではこれはやばいと頑張ったものの時期すでに遅し 数分の差でアウトとなってしまった。
さて何がまずかったのか冷静に考えた。たしかにハムストリングスの痛みは効いたし 胃のむかつきも効いた。実際 ホテルに帰ってみると ソックスの先っぽは血まみれだったし そのままトイレに駆け込んで吐き続けた。もちろん 夕食はパスし さっとシャワーを浴びただけで寝続けることになった。やはり過酷ではある。しかし考えてみれば 第4関門近くの 私にとっては最後の3キロくらいは頑張って走れたのだ。どういうことだ?
考えるに やはり最大の敗因は 気持ちの問題だったと思う。第一に 走る前に 最悪でも第3関門(56㎞)までは頑張ろうと妥協したことだ。これが「56kmまで頑張れ」ではなく「56km走れればよい」という悪魔のつぶやきとして頭の隅に残った。
第二の理由は 最初の申し込みにさかのぼる。100kmの部は申込者が多いので 4時半、4時45分、5時と3つのグループに分けてスタートする。後で気付いたのだが 予定走行時間を遅く申告した人は最後のグループに回されるようだ。私は予定完走時間を13時間50分(制限時間14時間)と正直に申告したために 5時スタートを割り振られた。このグループは遅い人が多いので 途中で歩く人 完走しない人が多くなる。つまり 周りに結構歩いている人が多くなるのだ。人間とは弱いもの。周りに歩いている人が多くいれば ついつい引きずられて自分も歩いてしまう。結局 これも気持ちの問題だ。
さて富士五湖ウルトラは62km、100km、118kmと3つの部で構成される。62kmは3つの湖を回る制限時間11時間のコース。100km は4つの湖を回る制限時間14時間のコース。118kmは5つの湖で制限時間15時間。私にとって118kmコースはとても無理だが 62kmコースは若干物足りない(多分)。来年はどうするか いろいろと考えた。62kmコースで気分よく走り 明るい時間内にゴールテープを切るか。それとも再度100kmに挑むか。
結論は10月末の横浜マラソンの結果まで待つことにした。今は 療法士のリハビリ通いの他 毎日欠かさずにストレッチと腹筋・体幹・背筋の筋力強化に努めている。
2023年8月 オンライン会議限界の証明
現在私の研修の7~8割が対面研修となっている。もちろんコロナ時期はすべてオンライン研修だったけれども ようやくこのレベルに復活してきた。私自身が対面研修を積極提案しているのに加えて 多くの顧客企業も「やはり対面がいいですね」という形で私の提案に納得してくれている。今もオンラインで研修実施している企業は 海外や地方の勤務者が多く参加する企業や 仕事自体が在宅オンラインが基本になったという企業である。
私の研修は 15~18人の参加者を対象に双方向のやり取りで進めている。対面研修とオンライン研修の両方を経験していると どうしてもオンライン研修でのコミュニケーションの浅さが気になってしまう。本当に気になって気になってしようがない。私の質問には答えてくれるのだが 本当に私の真意を理解してくれているのかどうか どうも心もとない。そもそもオンラインの場合 カメラの位置と相手の映っている画面の位置は一致しないので 相手の目を見ながらの対話ということ自体が成り立たない。もちろん マイクやスピーカーを通しての会話となると どうしても意見を発表しづらくなる。このカメラやマイク/スピーカーを通じてのコミュニケーションが 思った以上に深いレベルでのコミュニケーションの足を引っ張っているようなのだ。ちなみに 同様の理由で 私はオンライン飲み会などまったくの反対派である。
オンライン研修や会議でのコミュニケーションの浅さは明らかに私の経験として感じていることであり 多くの方も私の意見に同意してくれる。しかし この経験値を合理的に証明することはできない。したがって 効率化を理由にオンライン会議を主導する合理主義者にとって 私の立場は昭和的に見えるかもしれない。・・・と思っていたところ 某テレビで対面会議とオンライン会議の参加者の脳波を比較した研究の紹介があった。以下は川島隆太東北大学加齢医学研究所所長の話である。
そもそも「よいコミュニケーションとは共感を得られること」と定義される。これを脳波的に見れば お互いに相手の感情を理解しようとする良いコミュニケーションが取れている状態の時 脳活動の揺らぎが同期するという。この脳とコミュニケーションの関係はコロナ前からいろいろの実験が行われており 以前から明らかになっているという。結論から言えば 人と人のコミュニケーションにおいては「複数の人の脳の活動が同期すること」と「複数の人の間で共感が生まれ協調や協力ができること」はイコールと言えるのだ。
これを踏まえ 川島博士は対面とZoomを使った2チームの会話の差異を調査している。その結果 対面チームは会話開始後すぐに脳の前頭前野が同期し始めたけれども Zoomチームでは はた目には会話が成立し笑い声も飛び交い盛り上がっていて楽しそうに見えたのに 脳波はまったく同期しなかった。もちろん 脳が同期化しないと共感は生まれない。オンラインだから「座が温まる」までに時間がかかるということではなくて 盛り上がっていても脳は共感できていないというのだ。オンラインでは脳内の感情をつかさどる部分が働かないのだ。一見盛り上がって楽しそうに見えた会話もすべてうわべの浅いコミュニケーションだったのだ。
結論から言えば オンラインでは情報伝達程度はできるけれども 共感や協調は生まれない。深いコミュニケーションが不可欠の 双方型の私の研修スタイルはやはりオンラインでは大きな限界があるのだ。オンライン飲み会否定派の依怙地に見える私の主張もまた科学的に証明されたのだ・・・やっぱりである。
2023年11月 マラソンシーズン開幕
いよいよマラソンシーズンに突入。今シーズンも例年通り 10月初旬に開催される東日本ハーフが走り始め。今シーズンもちゃんと走れるかどうかのまずは足腰チェックです。今年は去年ほどではなかったものの 気温28度 湿度70%の蒸し暑さ。何とか走り切りました。
10月29日は今シーズン初のフル 横浜マラソン そして11月半ばには久しぶりに世田谷246ハーフに出場しました。今後は 12月初めの湘南国際マラソン(フル) 1月初めのハイテクハーフ(荒川) 1月末の新宿シティハーフ 2月初めの神奈川ハーフの後で 3月の東京マラソン(フル)。そして 4月に富士五湖ウルトラ(人生最後の100キロマラソン挑戦)の予定です。
こうしてみると 年間で 100キロ1回 フルマラソン3回 ハーフマラソン5回。我ながら 結構頑張っております。しかし 歳には勝てず 徐々にレース後の疲れが取れづらくなってきました。
今シーズン初のフルマラソンだった先月の横浜マラソンの話。コースはみなとみらいのスタートポイントから22キロほど平坦な道が続き その後15キロくらい高速道路の上を走ります。そして横浜ベイブリッジの前で高速を降りて 平坦な道に入り みなとみらいのゴールを目指すというコース。難関は高速道路。高速道路は走ってみると通常の道路よりも硬い。さらに高速出入り口の急坂はもちろん 微妙な上り下りに加え カーブにバンクがついています。しかも 一般道ではないので 道路わきの応援はなし。半分走った後にこれはかなりきつい。
横浜マラソンンのウリはこの高速道路とゴール近くのみなとみらいの大声援。とにかく観光地のど真ん中を走ってのゴールなので沿道の声援は本当にすごい。あきらかに東京マラソンを上回ります。今回 高速道路を降り あと5キロの地点で時計を確認すると 4時間半切れるかどうか微妙なところ。沿道の声援を受けて必死になって最後を走り抜けた結果 タイムは4時間29分40秒。今回はトイレなしで走り切りましたが もしトイレに立ち寄っていたら4時間半は切れませんでした。コロナ前は4時間を切るかどうかで走っていたのですが 今の私には上出来のタイムと言えます。
さて去年の横浜マラソンでは結果報告でとても面白いデータが公表されていました。去年は18千人(フルマラソン)走って 緊急搬送された人が20人。そのうち入院者が3名。内訳は 40代の方が心肺蘇生後に手術(蘇生したということはおそらくは大丈夫だったのでしょう) 50代の方が心筋梗塞 60代の方が顔面挫創(おそらくは転んで顔面を負傷したのでしょう。痛そう)。緊急搬送率が0.1%強。こんな公表データを見たのは初めてでしたので これを多いとみるか少ないとみるかは分かりません。ただ 戒めにはなります。さらに付け加えると 最高齢の完走者が83歳で記録4時間25分。すごいとしか言いようがありません。
今年はどうだったかとネットで見たところ 緊急搬送や入院者に関するデータの公表は一切なし。最高齢ランナーの公表もありませんでした。昨年はよくぞ公表したと思っていただけに残念。後で物議をかもしたのでしょうか。今からでも遅くないので 公表を望みます。
さて数年ぶりに走った世田谷246ハーフマラソン。コースの特徴は最後の5キロ地点の目黒通りの急勾配 しかも駒沢公園に入ってからゴールの陸上競技場までぐるりと公園内を2キロも回らせるという意地悪なコース設計。しかも制限時間2時間10分というチョーきつめ(普通の市民マラソンではハーフの制限時間は2時間半)。いかにも高齢者の参加はご遠慮ください的な大会です。ぎりぎり2時間強でゴールしましたが 数日たった今でも疲れが抜けきれません。
現在?歳。体力は確実に低下傾向にありますが まだまだフルマラソンを走る気力に衰えはありません。
2023年12月 藤原竜也
たしかNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の再放送だったと思う。何気なく見ていたら 俳優 藤原竜也がテーマだった。来年2月に藤原竜也主演の「中村仲蔵」を観劇予約しこともあり 興味深く見させていただいた。
藤原竜也は「身毒丸」主役オーディションで 天才演出家蜷川幸雄に見いだされ ロンドンで初デビューを果たす。それまで何の演劇経験もない当時15歳の少年だった。皆さんご存じのように その後 蜷川氏の厳しい指導の下 演劇一筋の人生を送っている。
番組を見ていて驚いたのは 藤原氏が入学後わずか4日で高校を中退したというくだりだ。この時 ふと頭をかすめたのが 将棋の藤井聡太のことである。藤井氏の場合 将棋対局スケジュールの関係が大きく影響したらしいが 高校3年時 卒業間近の中退だ。この時 私は 長い人生を考えると高校くらいは卒業しておいた方がよいのにと思った。しかし今回 既に不惑の歳を超えた藤原氏の高校中退の話を聞き 自分の考えが間違っていたと悟った。
人間には教えてもらわなければ学べない人と自分で進んで学べる人がいる。しかし 自分で進んで学べる人もその大半は 少なくともある程度の人生経験を積むまでは 何を学ぶべきかについては人から教えてもらう。ところが 稀にだが かなり早い年齢で 何を学ぶべきかどう学ぶべきかついて自分で判断できる人がいる。それが俳優の藤原氏であり 将棋の藤井氏だと思う。
凡人の私は今更のようにそのことに気付いた。おそらく藤原氏や藤井氏のご両親は身近で子供たちの姿勢を見ているだけに 自分たちの判断基準を子供たちにあてはめることはできないことに早々と気付いていたのだろう。それにしても 藤原氏の場合は 15歳での高校中退である。藤井氏の場合は 高校中退の時点ですでにタイトルを保持していたので 藤原氏との簡単な比較はできない。藤原氏の場合 おそらくは 師匠 蜷川氏の存在が大きかったと思う。天才は天才の生きるべき途を知るのだ。
自分を振り返ると はっきり言って私のキャリアだった経営コンサルティングや教育研修の分野では学歴がものをいう。私は日本のそれなりの大学を卒業し アメリカのそれなりのビジネススクールを卒業している。本当にラッキーだったし 多くの周りの方に助けられた結果だ。本当にありがたいことだが 言ってしまえば枠の中のキャリアである。
枠の中で生きてきた人間は枠の外で生きる人の力を理解するのが難しい。今回もまた 自分の理解を超える人たちの生き方を学ぶ大切さ 学ぼうとする姿勢の大切を心から思った。
皆さま よいお年をお迎えください。
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